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土井side
一緒にいると
ぐっと、胸の奥が詰まるような。
すっごく、すっごく、
甘やかしてあげたい。
なんでもしてあげたい。
ずっと、思ってきた。
こんなの、保護者だなんて感情ではなくて
ただ、ただ
Aさんのことが、好きなんじゃないか。
Aさんに、恋をしているんじゃないか。
そして、表現をしなければ想いは伝えられない。
土井「Aさんの頭を撫でるのも、
抱きしめるのも、」
涙で濡れる頬をそっと撫でて
指先でAさんのあごを引き上げる。
重ねた唇は、驚くほど柔らかくて。
『ん…』
土井「………口付けするのも、私だけだ」
名残惜しく離れる唇。
Aさんは潤んだ瞳で私を見上げる。
『大好き……もう一回、して?』
土井「Aさん……A、A」
想いのすべてを伝えるように
想いのすべてが伝わるように
深く深く、口付けた。
◆◇
忍術学園への帰り道。
きゅっと繋がれた手は暖かい。
土井「Aさんと利吉くんが一緒にいるのが
嫌だと思うって」
『うん』
答えがわからないから言えずにいたんだけれど、
今ならはっきりわかる。
土井「Aさんのことが、好きだから」
『……好きだから?』
なんともシンプルな答えに、
Aさんはきょとんとした顔だ。
土井「そうそう。独占欲とか嫉妬心で
いっぱいになっていたんだと思う……
好きだって自覚もしていなかったくせに」
"いつだってAを笑顔にしたり、助けたりするのは土井先生だ"と、そんなことを利吉くんに
言われたことがあるけれど
私からすればいつも自分の手から、
さらりとAさんを連れ去ってしまう利吉くんが
羨ましかったのだ。
土井「これからは、たくさん伝えますね」
『なにを……?』
土井「好きって」
真っ赤に頬を染めるAさんの頭を、
優しく撫でた。
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作者名:はな | 作成日時:2021年6月1日 23時