検索窓
今日:10 hit、昨日:50 hit、合計:50,237 hit

29 ページ31

you side



ゆらゆら揺らぐ。


このまま好きでいたって、叶わない。
このまま好きでいたって、苦しい。




利吉「私なら、Aのことを恋人としてずっと
  好きでいるし、大切にするよ」




それなら利吉くん、
私は貴方に堕ちてしまえばいいのかな。


近付く唇に、抵抗することもできなくて


あぁ、もう……






「ストーップ!!利吉くん!ストップ!」






突然の大声に、身体が跳ねた。


慌てた様子で瓦礫の上を
ガシャガシャと乗り越えてきたのは……




『土井、せんせ……』




額に汗を滲ませ、
はぁ、と息を吐く土井先生だった。





利吉「おぉ…!ここがよくわかりましたね」




利吉くんは土井先生の方を向いて、
おどけたように言った。




土井「……執念!」



利吉「あはは、さすがですね……
で、ここに来たってことは当然、
  わかったんでしょうね?ご自身の気持ち」




利吉くんの言葉に、土井先生はぐっと拳を握った。


そして、何か心に決めたように力強く頷く。





土井「うん……すまない利吉くん、
  Aさんは……渡せない」



『は……?』




何を、今更……何を言うの?




利吉「そうですか……保護者だからですか?」



土井「違う……Aさんが好きだ。傍にいたい。
  抱きしめたい。誰にも……渡したくない」




だから、今更……何を言うの?

じわじわと滲んだ涙が、大きな粒になって溢れる。





利吉「……A、土井先生は気付いたみたいだよ?」




利吉くんは私の方に向き直った。




『うん…うん……』



利吉「Aのことが好きだって」




どうして、そんな笑顔で言うの……
どうしたらいいの。



私は、私は……




『利吉くん』



利吉「……大丈夫だよ。
  私はAが幸せなら、それで良いんだから」




ぽんぽんと、私の頭を撫でる利吉くん。




『……ごめんなさい……ありがとう』



利吉「ううん、大好きだよ」




利吉くんは私の前髪を避けて、額にそっと口付けた。




利吉「土井先生。
  Aを泣かせたら、承知しませんからね」


 

土井「ん、うん」



 


利吉「……じゃぁ私は行くよ。また会いに行くから。
  ちゃんと仲直りするんだよ?」





そう言って利吉くんは、その場を後にした。

30→←28



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (117 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
248人がお気に入り
設定タグ:忍たま , 土井先生 , 土井半助   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はな | 作成日時:2021年6月1日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。