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土井side



『好きです。土井先生』



『だから、口付けたの?』



『ほら、やっぱり私を汚い女だと思ってる』





Aさんが出て行って、
しん……とした部屋でひとり。


彼女の言葉が、頭の中を巡っている。





『ありがとう、さようなら』





涙まじりの声で、
こちらを見ることなく出て行ったAさん。





土井「どうしたら……良かったんだ」





一筋、涙が頬を伝った。


どうして。


Aさんの気持ちを受け入れなかったのは、
自分じゃないか。


それなのに、魂が抜けたように身体は動かなくて、
溜め息と負の感情が部屋に渦巻く。




土井「Aさん……」




彼女の名を呟いた、そのときだった。







「あーぁ。A、出ていっちゃいましたね」







土井「り、利吉くん?!」





いつの間にか、
利吉くんがそこに立っているじゃないか。




土井「い、いつからそこに」




袖でさっと涙を拭った。
すると利吉くんは、はぁ……と溜め息を吐く。




利吉「えぇ。
  Aが土井先生に、好きだと伝えた辺りから。

  私は土井先生のことは尊敬していますが……
  今回ばかりは阿呆で馬鹿だと思います」



土井「あ、阿保で馬鹿……」




なかなか、結構な言われ様なんだが。




利吉「抱きしめて口付けておいて、
  なにが保護者ですか。

  自分の気持ちの正体を知らないまま、Aを
  誰かに取られても知らないと言いましたよね」




利吉くんはよいしょ、と障子に向かうと


 

利吉「……まぁ別にいいですよ。
  土井先生が保護者として大切なAは、
  私が恋人としてもらいますから」




土井「こ、恋人っ?!」




とびきりの笑顔で、部屋を出て行ってしまう。

 



やっぱり一緒にいると
ぐっと、胸の奥が詰まるような。



すっごく、すっごく、


甘やかしてあげたい。
なんでもしてあげたい。


触れたい。


そう、思っていた。






Aさんが利吉くんの恋人に?
そんなの絶対に、絶対に嫌だ。









気づかないうちに、
だけど確実に膨らんでいた気持ちの正体は

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設定タグ:忍たま , 土井先生 , 土井半助   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:はな | 作成日時:2021年6月1日 23時

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