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土井side
ぴしゃりと閉まった障子の音に、
そしてAさんの涙に、
はっと我に返った気がした。
小平太「あーあ、泣かせた」
後ろから聞こえた声に振り向くと、
小平太が私をジト目で見ている。
その手には、Aさんが落とした包み紙。
小平太「私たち、Aさんから相談を受けて」
土井「……相談？」
伊作「そうなんです。
それで山田先生に許可を頂いて、出掛けること
になったんです……だけど、すみません」
山田先生の許可があったとはいえ、もっと慎重に
考えるべきだったと、伊作は頭を下げた。
土井「い、いやいや、伊作。
私もついカッとなってしまって……すまない」
皆に言われるように、過保護かもしれない。
Aさんのことになれば、熱くなってしまう。
だけど、Aさんは私の"もの"ではないし
Aさんの意思はもちろん尊重すべきだ。
だけど………
いつでも自分が彼女の傍にいて守りたいと、
そう思うのも本当で。
土井「少し山田先生と話してくるよ。
Aさんには後できちんと話すから」
Aさんを心配する六年生や乱太郎にそう言って、
私は山田先生の元へ向かった。
◆◇
山田「あぁ、外出の許可を出した」
山田先生は当然といった様子で頷いた。
土井「だけどAさんはまだ……」
山田「あのな、半助。心配する気持ちもわかるが……
伊作と乱太郎が一緒だから許可したんだ」
あのふたりは保健委員として、
Aさんが忍術学園に来たときからずっと
手当てをしてくれていた。
だからAさんも、とても仲良く、
信頼しているように思う。
山田「それに私は、
Aくんの気持ちを尊重したかった」
土井「Aさんの気持ち、ですか」
そうだと、また山田先生は頷く。
山田「"土井先生にお世話になりっぱなしだから、
何か返したい"と外出許可の相談を受けてな。
人のために行動しようとするAくんを、
止めたくなかった」
山田先生の言葉を聞いて、
居ても立っても居られなくなった。
土井「Aさんのところへ行ってきます！」
早く早くと、急ぐ心と身体。
勢いよく部屋を飛び出した。
山田「本当に手のかかる……」
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作者名：はな
| 作成日時：2021年6月1日 23時
