【忍たま】私に、確かに刻んで【善法寺伊作】

君のためだよ ページ10

伊作side



伊作「じゃぁまた新学期に！」



食満「あぁ、気をつけてな」




今日から忍術学園は長期休暇だ。
僕は門をくぐって家路を急ぐ。




だって、だってAちゃんに会えるから。
だって、だって手紙をくれたんだ。




【私も、伊作くんに会いたいです】




勇気を出して書いた手紙に、
なんて嬉しい返事だろう。







伊作「Aちゃん、ただいま！」



『伊作くん！おかえりなさい』




今日は仕事が休みなのか、Aちゃんは家の前に
打ち水をしているところだった。

パシャ、と水の音が気持ち良い。




『早かったね。もっと遅いかと思った』



伊作「うん、急いで帰ってきたんだ」



『早くおじさんとおばさんに顔見せてあげないとね』





君のためだよ。





なんて、さらっとは言えない相変わらずの関係。






家に帰り、適当に荷物を置いてきた。
よかった、Aちゃんはまだ外にいる。




伊作「Aちゃん。
　 今から山に薬草を探しに行くんだけど、
　 一緒にどうかな？」



『ほんと？行く！』




Aちゃんはにっこり笑ってくれた。







伊作「それで、そのとき留三郎がね」



『こんなお客様が来てね』




道中は忍術学園であったことなんかを話して、
Aちゃんの仕事の話も面白くて、
僕たちは笑いながら歩いた。






伊作「Aちゃん、見てよこれ」




山の中では、たくさんの薬草を収穫できた。
籠いっぱいに薬草も採れたし、
なによりAちゃんが一緒だからとても嬉しい。




『たくさんだね！さすが保健委員長の伊作くん』



伊作「はは、これだけあれば結構な薬が作れるよ。
　 付き合ってくれてありがとう」




ふと空を見上げれば、少し曇ってきた空。
自分で言うのも何だけど、不運な僕のことだ。

雨が降りそうな予感がする。




伊作「Aちゃん、そろそろ帰ろう」



『うん、なんか天気悪くなってきたね』





僕たちは早く山を降りようと足を進めた。

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