寂しい気持ち ページ29
you side
伊作くんは、仕事へ出掛けている。
今回は、かれこれ三週間程になるだろうか。
青年「恋人は忙しいんだな」
すっかり馴染みとなったこの青年。
いつか私を好きだと言ってくれた人だ。
『そうなの』
青年「寂しくないの?」
そう、相変わらず爽やかな彼は
私見つめて言うのだけれど。
『寂しくないよ。必ず帰ってきてくれるから』
伊作くんはいつだって、慌ただしく帰ってきては
Aちゃんただいま!帰ったよ!
そう言って、抱きしめてくれるのだから。
青年「いつも言うけど、
私ならいつでも大歓迎だからね」
『またそれ言うんだから』
もちろん寂しい。
会いたい気持ちや心配の気持ち。
涙の出る夜もある。
そんなときは、伊作くんからの手紙を抱いて眠る。
青年「あはは、冷たいなぁ。
いつ帰るとかって便りはないの?」
『あったよ。帰るまでもう少し掛かりますって』
それがちょうど一週間前。
◆◇
店も落ち着いていたので、
今日は早めに上がらせてもらった。
私はそのまま町で
買い物をして帰ることにしたは良いけれど、
『おも……』
帰ってもひとりなのに。
何をこんなに張り切って食材を買う必要があるのよ。
ぱんぱんになった手提げの籠を抱えて、
私は帰り道をふらふらと歩いている。
『駄目だ、休憩っ』
どさっと籠を地面に下ろしたとき、
前方から声がした。
「……Aちゃん?!」
『ん……?あ、留三郎くん!』
顔を上げると、食満留三郎くんが
なんだか焦ったような顔をして立っている。
食満「もう仕事終わったんだ?」
『うん、今日は早めに。
……あ、うちでごはん食べていく?』
どうせなら、ひとりよりふたり。
誰かのためなら作り甲斐もあるし。
だけど、食満くんはやっぱり焦った顔だ。
食満「あー、えーと。荷物持つから、
ちょっと散歩して帰らないか?」
そう言って、食満くんは地面に置かれた籠を
らくらくと持ち上げた。
『……?うん』
食満「良かった、行こう」
少しは寂しい気持ちが癒されるだろうか。
私は頷いて、
食満くんと周り道をして帰ることにした。
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はな(プロフ) - ねう。さん» 伊作のお話なかなかないですよね…自分で作っちゃえ!のやつです笑)なんか伊作のホワホワ感と、でも男なんだぞってところも出したくて。私の欲が詰まった作品です😂読んでもらえて嬉しいです。コメントありがとうございます! (2023年1月4日 8時) (レス) id: 1cb0e453a9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 伊作のお話なかなかなくて、やっと良さげなのに辿り着けたらめちゃめちゃ良かったです…号泣 たくさん泣いてどきどきさせてもらいました!笑 素敵な作品をありがとうございました!とても面白かったです!! (2022年12月18日 1時) (レス) @page37 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 紅っこう飴さん» ありがとうございます!のろのろ更新の作品でしたが、なんとか完結しました!最後の方はぐだぐだっとなってしまいましたが、読んで頂けて嬉しいです!紅っこう飴様の作品も是非読みにいかせて頂きます!どうぞ宜しくお願いします。コメントありがとうございます。 (2021年8月29日 0時) (レス) id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
紅っこう飴(プロフ) - コメント失礼します。この度は完結おめでとうございます!よるのおあそびでも素敵なお話でしたが、派生作品もとても素敵で伊作の夢主さんへの優しい愛情や葛藤など読んでいてとてもドキドキしました!これからも、はな様の作品を楽しみにしています! (2021年8月23日 11時) (レス) id: c06d7fa039 (このIDを非表示/違反報告)
梅こんぶ(プロフ) - 早速新作読みに来ましたおめでとうございますどれも土井先生や伊作も大好きでこれからの作品頑張って下さい5月頃より、みことに梅こんぶに設定に変更しました。後お気に入り登録させて頂きました☆ (2021年5月13日 19時) (レス) id: 51e5a74e6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2021年5月13日 17時