【忍たま】私に、確かに刻んで【善法寺伊作】

目移りしちゃ嫌 ページ25

you side



伊作「迎えに来るからね、お店の中で待っててね」



『うん、わかった。ありがとう』




言葉でどう言い表せば良いのかわからないけれど、
あの日から私と伊作くんの中で、
不安がなくなったように思う。


この長期休暇中、何度も確かめ合って
何度もお互いの中で溶けた。




伊作「何かあったら叫ぶんだよ！」



『わかった！わかったから！！
　もう何十回このやり取りしてるの』




私がまた、
仕事先であぁいう目に遭ったら……とか
他の人に言い寄られたら……とか
そう考えて伊作くんは頭を抱えていたけれど、

そんなの、私だって思うことはある。






伊作「Aちゃん、お疲れ様」



『ただいま、伊作くん』




当たり前のように手を繋ぎ、同じ歩幅で歩き出す。




伊作「今日は薬草を採ってたんだ。
　 もう少ししたら、新学期が始まるし……あぁ」



『どうしたの？』



伊作「離れるの……寂しいよAちゃん」




立ち止まり、私の両手を取る伊作くん。
もう……可愛いんだけど、でも




『立派な忍者になるためでしょ？
　私はずーっとここにいるし、待ってるから大丈夫』




私より背の高い伊作くんの頭を撫でると、
やっと笑ってくれた。




伊作「うん、ありがとうAちゃん。
　 一日二回、手紙書くからね！」



『二回も』




伊作くんの、ふんわりした笑顔が本当に大好き。

でもね、




『他の子に目移りしちゃ嫌だからね？』




私の言葉に、ぴたりと動きを止める伊作くん。




伊作「絶対しないけど……どうして？」



『だって……くの一教室もあるんでしょ？
　……可愛い子もいるだろうし』




信頼していないわけじゃないし
疑ってるわけでもないんだけれど




伊作「……Aちゃん、僕がどれだけ
　 Aちゃんのことが好きか知らないでしょ」



『ど、どれだけって……』




ぎゅっと拳を握る私を見て、
伊作くんはまたふんわりと笑った。




伊作「今すぐにでも、お嫁さんに
　 なってほしいくらいなんだよ？
　 それで、ずっとずっと一緒にいたい」




Aちゃんにしか、こんなこと思わない。




そんな伊作くんらしい答えに、
心がじゅん、と熱く溶けた。



さぁ、また新学期が始まる。

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