【忍たま】私に、確かに刻んで【善法寺伊作】

涙を拭いて ページ23

you side



伊作「僕、Aちゃんが大好きで大切で
　 ずっと一緒にいたいのに……」




伊作くんはわぁわぁ泣きながら、
その涙を拭こうともせずに必死に訴える。

泣き止んでほしくて、背中をさすった。




『泣かないで伊作くんっ。
　私も言い過ぎたよね、ごめんね』



伊作「ううん、今日思ったんだ。
　 ずっと傍にいられないのに、
　 守るだなんて……無責任だよね」




だから、僕は相応しくないと。
僕じゃない誰かの方が良いと。


伊作くんの答えは、私のことを想ってのことだろう。




『私は伊作くんがいい、伊作くんしか嫌だよ』



伊作「……いいの？
　 好きな時に一緒にいられないかもしれない。
　 Aちゃんが悲しい時に、
　 すぐに傍に行ってあげられないかもしれない」




この先も長期休暇にしか会えないし
伊作くんは忍の者として生きていくんだろうから、
卒業したら尚、一緒にいられないこともあると思う。


今日みたいなことも、あるかもしれない。



だけどね、伊作くん。




『会えない日が続いても、伊作くんは私のこと、
　ずっとずっと好きでいてくれるでしょう？』



伊作「うんっ……勿論だよ」




持っていた手ぬぐいで、伊作くんの涙を拭いた。




伊作「Aちゃん大好きだよっ…！」



『私も大好き……
　だからもう、あんなこと言わないで？』



伊作「うん。ずっとずっと、僕に守らせてっ……」




それはもう勢いよく、
伊作くんは私を抱き……いや、飛び付いた。



◆◇



伊作くんの涙がようやく乾いた頃、




伊作「あ！Aちゃん、ひざ！」



『あ、そうなの。帰りに転んじゃって』




あわあわと慌てながら、
伊作くんは救急箱を取り出した。




『どっ、どこから出したのそれ』



伊作「あれ？いつも持ってるよ？」




知りません。そのきょとん顔は可愛いけれど。




伊作「しみたらごめんね、よく効くから」




伊作くんはさすが保健委員長なだけあって、
丁寧に消毒をして傷薬を塗ってくれた。




『傷痕、残るかなぁ。嫁入り前なのに困っちゃう』



伊作「大丈夫だよ！
　 Aちゃんは僕がお嫁さんに貰うんだから！」




そんな伊作くんのキラキラの笑顔に、
私の頬も緩んだ。




『そうだね、伊作くん』

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