急上昇と、ちくん ページ3
you side
手紙に書いてあったとおりなら、
今日は伊作くんが帰ってくるらしい。
"そちらの地域で実習があるので、
終わったら実家に寄ります"、と。
伊作くんは、実家のおじさんとおばさんに
顔を見せるために帰ってくるのに。
私のためじゃないのに、
この胸は高まって仕方がない。
あぁ、もう仕事の時間。
頑張らないとね。
ねぇ、伊作くん。
会いたいよ。
◆◇
「ごめんねAちゃん、遅くなっちゃって」
帰る支度をしていると、
茶店の奥さんが声を掛けに来てくれた。
今日はとっても忙しくて、
帰るのが遅くなってしまったのだ。
『いいえ!とんでもないです』
奥「本当、助かったわ。
じきに外も暗くなりそうだけど大丈夫?」
たしかに、もうそろそろ夜に向かう時間。
少しだけ、帰るのには不安もあるけれど
家は町を抜けてすぐだから、大丈夫。
『大丈夫です。気を付けて帰りますね』
奥「じゃぁお疲れ様、これ持って帰ってね」
『わぁ!ありがとうございます』
大好きなお団子を持たせてもらって
奥さんと店頭まで戻ってくると、
ご主人が誰かと話しているのが見えた。
店主「あ、来た来た」
そこには、私を手招きするご主人と
「Aちゃん」
笑顔で私に手を振る、
伊作くんがいた。
『い、伊作くん!』
どきどき、体温も心拍数も急上昇。
伊作「迎えにきたんだよ。一緒に帰ろう?」
その柔らかい髪色と優しい笑顔
あぁ、伊作くんだ。
思わず、ぼうっと見惚れていると
奥「あら、Aちゃん!恋人いたのね?」
私の後ろから覗き込んで、うふふと笑う奥さん。
『いえっ、彼はっ……幼馴染で!』
伊作「………そうなんです、僕はただの幼馴染で」
"ただの"幼馴染
動揺することなく、伊作くんはそう言った。
ちくん、なんだか胸が痛いけれど
『帰ろう、伊作くん』
私は伊作くんの手を引いた。
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はな(プロフ) - ねう。さん» 伊作のお話なかなかないですよね…自分で作っちゃえ!のやつです笑)なんか伊作のホワホワ感と、でも男なんだぞってところも出したくて。私の欲が詰まった作品です😂読んでもらえて嬉しいです。コメントありがとうございます! (2023年1月4日 8時) (レス) id: 1cb0e453a9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 伊作のお話なかなかなくて、やっと良さげなのに辿り着けたらめちゃめちゃ良かったです…号泣 たくさん泣いてどきどきさせてもらいました!笑 素敵な作品をありがとうございました!とても面白かったです!! (2022年12月18日 1時) (レス) @page37 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 紅っこう飴さん» ありがとうございます!のろのろ更新の作品でしたが、なんとか完結しました!最後の方はぐだぐだっとなってしまいましたが、読んで頂けて嬉しいです!紅っこう飴様の作品も是非読みにいかせて頂きます!どうぞ宜しくお願いします。コメントありがとうございます。 (2021年8月29日 0時) (レス) id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
紅っこう飴(プロフ) - コメント失礼します。この度は完結おめでとうございます!よるのおあそびでも素敵なお話でしたが、派生作品もとても素敵で伊作の夢主さんへの優しい愛情や葛藤など読んでいてとてもドキドキしました!これからも、はな様の作品を楽しみにしています! (2021年8月23日 11時) (レス) id: c06d7fa039 (このIDを非表示/違反報告)
梅こんぶ(プロフ) - 早速新作読みに来ましたおめでとうございますどれも土井先生や伊作も大好きでこれからの作品頑張って下さい5月頃より、みことに梅こんぶに設定に変更しました。後お気に入り登録させて頂きました☆ (2021年5月13日 19時) (レス) id: 51e5a74e6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2021年5月13日 17時