【忍たま】私に、確かに刻んで【善法寺伊作】

止められない想い ページ11

伊作side



ぽつ、ぽつ…………




『あっ、降ってきたよ伊作くん』



伊作「うわぁ本当だ！ごめん、Aちゃん」




僕はAちゃんの手を引いて走り出す。




『なっ、なんで謝るの？』



伊作「不運委員会の委員長だからね」



『ふふっ、何それ』



なんだか、Aちゃんは楽しそうだ。

うん、僕も楽しい。








伊作「駄目だ。ここで雨宿りしていこう」




思った以上にざあざあと降ってきた雨。

通りすがりに小屋を見つけたので、
雨宿りすることにした。




伊作「うわぁ、結構濡れちゃったね」



『うん、これくらい大丈夫』




手ぬぐいで拭いてから隣り合って座る。




『止むまでゆっくりしていこ、伊作くん』



伊作「うん、そうだね」




まだ降り続く雨の音を聞きながら
僕たちは語り合った。

　



Aちゃんと話すのは楽しい。

久しぶりに会ったからじゃない、
Aちゃんのことが好きだからだ。





すると突然、Aちゃんは下を向いてしまった。





伊作「どうしたの？具合、悪い？」



『………伊作くん、』




Aちゃんはゆっくり顔を上げ、




『伊作くんは、私のこと……好き？』




僕を見つめてそう言った。


急にそんなことを言われ胸がドキッと鳴る。





『伊作くんが、"会いたい"って
　手紙に書いてくれたのが本当に嬉しかった。

　私、いつもは手紙のやり取りだけで充分って
　思ってたのに……』




"会いたい"とか"寂しい"とか
そんな気持ちは相手にとってどうなのかって。





伊作「Aちゃん……」



『私……私、ずっとずっと会いたくて……
　だけど結局はただの、幼馴染だから………』




ずっと、言えないでいた。
だけど、もう止められなくて。






伊作「好きだよ。僕はAちゃんが大好きだ」






やっと言えた言葉に、Aちゃんは目を見開いた。

少し身体を震わせて、
目に涙が溜まっていくのがわかる。




『ほんと……？私、邪魔じゃない？』





なんでそんな事言うんだ。





僕は思わずAちゃんの両腕を掴み、口付けた。

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