Pretender３

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「なんも恥ずかしいないっ。
いや、恥ずかしくはあるけど。
のんちゃん、可愛ええやん」


「うえ？あ、はい」
　

「流星も。
男っぽくてカッコええやん！」


妙にムキになってしもた。

恥ずかし過ぎる。


「ごめん、何でもない」


慌てて付け足した時。


「・・・神ちゃんはさ、
そんな流星がええん？」


隣で、しげが、俺の声に被せるように呟いた。


「・・・え？」


「そら、流星はええ男やもんな。
イケメンやし、クールでカッコええし。
恋愛かって得意やし。
あんな臭いそうなくっさいセリフ吐くんも、
平気やし」


「しげ？どうしたん？」


「・・・妬いてるだけじゃ。
分かるやん」


しげ、今なんて？

妬いてるだけ、

俺の耳がおかしなければ、
確かにそう聞こえたよな？


「神ちゃん、なんか言うてや」


「びっくりしてるねん。
はじめてやから。
しげが嫉妬してくれんの」


「はあ？
なんで初めてなん？
俺、何万回も嫉妬してますけど？」


「ちょ、しげ！声おっきいて！」


しげのおっきな口を、
手のひらで塞いでから。

はっとなった。


俺、なんて事を・・・


慌てて離したけど、
居場所なくした指先が、
彷徨う。


そしたら、俺のその手を、
しげがぎゅっと掴まえた。


ドキンとなった次の瞬間に、
ぐいっと引き寄せられて。

ふわっと日向の匂いが鼻先を掠る。


俺、しげに抱きしめられてる・・・


ドキドキドキドキ。


心臓の音だけが、静けさの中にやけに大きく響いてる。


嬉しいて、呼吸の仕方も忘れそうやったのに。


驚いたせいで、びくってなってもうて。


「神ちゃん、嫌やんな、ごめん」


しげ、すぐ離れてもうた。


「・・・嫌や」


「うん、やから、ごめん・・・」


「ちゃう。
離したら、嫌」


「神ちゃん？」


しげのマントの裾を掴んで、俯く。

これ以上は、俺には無理や・・・


しげが、くしゃっと笑ったんが、
見えてないのに、分かった。


俺の背中に回る腕。


ぎゅっと包み込んでくれる。


マントを握ってる手に力込めたら・・・


「神ちゃん、さっき言うてた事、分かったかも」

　
耳元にしげの嬉しそうな声。


「何の事？」

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