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その日、なんとか家には帰れたものの、どうやって帰ってきたのかはよく思い出せなかった。
私と(人3)くんは、ずっと無言だったように思う。
これは、現実?
それとも悪酔いして、幻覚でも見てしまったんだろうか。
その希望を捨てきれない。
信じられなくて、信じたくなくて――私は泣くことくらいしかできなかった。

――どうして?
どうしてふたりはあんなところへ行くの?
私だって一度も、ないのに。
それとも中3の時1カ月くらいつき合ってた間に、ふたりはそういう関係になっていたの?
考えたく、ない。

心が、苦しい。
私、裏切られた?
最愛のあの人に、裏切られた?
悲しくて悲しくて、もう死んでしまいたいとさえ思った。
こんな思いするくらいなら、(人2)の後なんかつけなければよかった。
そう切実に思ったけれど、そんな後悔を今さらしても、遅すぎることはよくわかっていた。
私にできることは、泣きながら後悔することだけだった。

右手の薬指にしていた指輪を、私はゆっくりとはずした。
綺麗な乳白色のムーンストーンがはめこまれているシルバーリング。
ホワイトデーに(人2)がくれたもの。
ムーンストーンを部屋の灯りに透かしてみた。
なめらかな艶が、光を乗せてきらきらと輝いていた。
初めて指輪をもらった時の幸せな気持ちと、今のこの悲しい気持ちが混ざり合って――余計に辛くなった。
もうこの指輪を、はめることはできないかもしれない――。
私は苦しい思いを抱えながら、そう感じた。

食事はずっと喉を通らなかった。
翌日も、ずっと部屋にこもって一人で泣いていた。
月曜日になっても、学校へ行く元気が出なくて、火曜日も水曜日も学校を休んだ。
(人2)からは、私を心配するようなメールが一度だけきたけれど、私は返事をすることができなかった。
私は、どうしたらいい?
だけど――離れたくない。
(人2)と、別れたくないよ。
たくさんたくさん泣いて、泣いて、泣いて、涙が枯れてしまいそうなくらい泣いて――決断した。
忘れる、と。
(人2)のことを忘れるわけじゃなくて、あの夜に(人2)と(人4)の間に起きたことを忘れる。
そうすれば、きっとずっと(人2)と一緒にいられるんだ。
どんなことをしてでも、手放したくない。
私が我慢すれば(人2)がそばにいてくれるなら――私はいくらでも我慢する。
明日からは学校に行こう。
そう決断して、涙を拭いた。

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サイハテ - わわっごめんなさい><エスカバは映画に登場した王牙学園のFWです^p^ (2011年1月31日 19時) (レス) id: 4216f81752 (このIDを非表示/違反報告)
メラニィ(プロフ) - サイハテさん、ありがとございます。リクエストは受け付けてないのでごめんなさい…。てかあたひはエスカバって誰ですか??みたいなレベルなんで(((^^;;; (2011年1月30日 0時) (レス) id: 5655c7a529 (このIDを非表示/違反報告)
メラニィ(プロフ) - 紗津姫さん、ありがとございます♪友達にまで紹介してくれたとか嬉しすぎる…!! (2011年1月30日 0時) (レス) id: 5655c7a529 (このIDを非表示/違反報告)
メラニィ(プロフ) - 優希、ありがとう!!小説になってたら買ってたとか超うれしい〜!泣いちゃう…。 (2011年1月30日 0時) (レス) id: 5655c7a529 (このIDを非表示/違反報告)
メラニィ(プロフ) - 爽雷さん、ありがとございます。まだ未定ですが、次もよろしくお願いします♪ (2011年1月30日 0時) (レス) id: 5655c7a529 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メラニィ | 作者ホームページ:http://merany11.web.fc2.com/index.html

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