想い（4） ページ36
あの後、残り授業時間が少ないことを知った私は保健室に訪れていた。
保健室入ると、中には養護の先生以外は誰もいないくて静かな空間が広がっていた。
目が赤く、一目で泣いていたとわかるような顔をしていたせいか先生は何も聞かずに記入カードを差し出した。
お礼を言い、カードに記入してから、あのとき寝ていた一番奥のベッドに横たわる。
ぼーっとしながらスカートのポケットに突っ込んであったスマホを取り出し、メッセージアプリを起動させる。
あいうえお順に並ぶ連絡先をスクロールして、『き』の文字に目を止める。
ゆっくりと数回深呼吸をしてから、手短かに文字を打ち込む。
少し震えている手で送信ボタンをクリックし、ぼすんとベッドに手を投げ出した。
放課後まで、あと8分
ベッドに入る前に先生から貰った冷却剤をタオルにくるみ、目に当てて冷やす。
冷静になれ。
なんていったって初めてなのだ。
自分の“想い”を伝えるのは。
人に気持ちを伝えるというのはこんなにも緊張するものなのか、と今更ながらにひーちゃんを尊敬した。
でも、こんなに怖いことを恐れずにしてくれたひーちゃんに情けないところは見せられない。
残り、3分
声にならない呻き声を隠すように、顔をまくらに埋めた。
ドキドキして、死にそうだ。
いつもの数倍は速く鳴っている心臓の音に、更に体が固まっていく。
すっかり冷たくなってしまった指先を温めるようにゆっくりと動かす。
残り、1分。
一段と深い深呼吸をしてから、重い体を起こし、ベッドの上に腰掛けた。
夏特有の生暖かい息を手で受け、少し顔を歪める。
残り、30秒
スマホを確認すると、私のメッセージの横には既読の文字。
残り、5秒
壁に掛けてある時計の秒針を数える。
4,3,2,1,…0
チャイムが鳴ったが、その音が止む前に廊下から響いてくる足音があった。
2年の教室は保健室の真上だからそんなに驚くことではない。
きっと、HRはサボったのだろうと密かに笑みを零す。
今日は人にサボらせてばっかの日だな。
「…失礼します」
まだ少ししか経っていないはずなのに、既に聞き慣れてしまった低音が耳に綺麗に響いた。
「…あの、佐々木先生が呼んでました」
用事があるって、と真っ赤な嘘をいつもと変わらない調子で言っている。
何かしら？、と声がした後、バタンとドアが閉まる音が聞こえる。
コツコツと段々大きくなってくる足音が私のいるベットのカーテンの前で止まった。
「…A先輩」
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まいまい☆ - トキヤloveさん» お返事遅くなってしまって申し訳ありません。リクエスト、ありがとうございます！とても助かります。今書いているside:IKUYAシリーズが終わり次第、書かせて頂こうと思います！ (2019年9月29日 18時) (
レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
トキヤlove(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お疲れ様です。続き気になります。主人公が郁弥に、頬っぺたにキスしてほしいです。郁弥が、主人公に名前で呼んで欲しくて、壁ドンして、ほしいです。主人公も、お返しに、いつもドキドキさせられて、ばっかりだから、頬っぺたにキスしてほしいです。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: e59d869c74 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - 凛大好きさん» こんばんは、お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。頑張りますね！ (2019年9月25日 23時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
凛大好き(プロフ) - まいまい☆さん» こんばんは お久しぶりです。更新ありがとうございます。続き気になります。頑張って下さい。 (2019年9月25日 23時) (レス) id: 666c266cdc (このIDを非表示/違反報告)
まいまい☆ - トキヤloveさん» 沢山のリクエスト、ありがとうございます！ポッキーゲームとクリスマスは前作でやらせて頂いたので、とりあえず郁弥sideのものを書かせて頂きますね！他のリクエストが来なかったり、話が余ったりしたら最初の二つも書かせて頂きます。 (2019年9月16日 20時) (レス) id: e4e68df0f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいまい☆ | 作成日時：2019年7月30日 18時
