妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ13)

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第６.１２話　暗い気持ちになった時ページ13

翌日、朝早くに、私は外へ出た。

太陽はまだ、ほんの少ししか顔を見せていない。
こんな朝早くの空気は、なんだか心地いい気がした。

冷たい風が、そっと吹き抜けて行く感じも好きだ。

本来なら。

本来なら、その事で頭がいっぱいなんだろう。でも、今日は……。
ニュースで言っていた、『日向村』へ行くと言っていた。

私は弱い。決して強くなんかない。
だから、力がない故に、またあの二人を失ってしまったら。

思えば思うほど、戦うのを恐れてしまった。

二人を失った時の悲しみ。辛さ。絶望感。一生忘れることはない。
それに、また死んでしまえば、再び生き返らせる事は出来ないだろう。

それはわかっていた。本能的に……。

私には二人が必要だ。生きて行くのに水や酸素が必要なように、
二人が居なくては、生きることすら出来ないと感じていた。

ずっと考えていると、商店街のシャッターが開き始めた。

──もうこんな時間だったのね。
ふと遠くを見ると、親子らしき人々がパンを選んでいる。

それを見て、私は今日は学校がない土曜日だと思いだした。

駅の待合室のベンチの目の前には、液晶画面のテレビがある。
ぼうっと見ていた私は、次の瞬間……息をのんだ。

映像は、病院へ連れて行かれる人々の様子をアップで映し出している。

体をくの字に折り曲げて苦しんでいる女の人、
担架に乗せられて運ばれる子供、とりすがる家族。

私は衝撃を受けたが、私はその場から離れ、丘を登って行った。

『ねぇ、知ってる?暗い気持ちになった時ね、
丘をずっと登って行って、歌を歌うと良いのよ。
鼻歌でも良いけれど。きっとスッキリすると思うわ』

その言葉を思い出したから。
姉さんはいつも私を見守っていてくれたっけ。

でも、それはもう一年前の話……今はもう、私は中学三年生だ。

丘を登りきると、手すりがあった。
私はそこへ座り込み、手すりに腕を乗せた。

しかし、歌う気分にはなれなくて、ただ景色を眺めていた。