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自分がちゃんと呼吸出来ているのかすら分からないくらい緊張していた。
全身の筋肉が強ばって、もはや痛い。
緊張しすぎると体は痛くなるのか?なんて頭では考えられているのに、身体は緊張したまま。
キ「あの…」
『はっ、はははははいっ』
おい自分。緊張してるのは分かるけど、せめてまともに喋ってくれ。推しの前で失態を晒したくない。
キ「身体は、どんな状態なんですか?」
『えええっと、あの、元気です!』
キ「げ、元気…?」
とにかくシンプルな答えを発した私の腕のギプスに、彼の視線が注がれる。
腕にギプスして、おまけに入院してるのに元気?とその視線が言っている気がした。
推しを困惑させて申し訳ない気持ちになってしまい、慌てて回答を訂正する。
『えっと、運ばれて少しの間は脳震盪で意識がなくて、腕は骨折してて、少し大きめの擦り傷があったり、打撲?してたみたいなんですけど、今はもう! この通り! 元気です!
それよりキヨ…さんは大丈夫なんですか?』
もうそれはオタクが推しについて語ってるときのよう。とにかく大丈夫だということを伝えたくて、早口で捲し立てた。
キ「俺はおかげさまで、落ちたときにちょっと打撲したくらいで、それ以外は何も無かったです」
本当は打撲すらさせたくなかったのだけれど、推しを大怪我から守れただけマシか、とひとまず安心。
けれど、キヨの反応は真逆だった。私の大丈夫なんて言葉はなかったかのよう。
病室に来たときから思っていたけれど、とにかく暗い。いや、お見舞いに来てくっそ明るいっていうのも困るんだけれど。
キ「あの」
キヨは座っていた椅子から立ち上がって、一気にバッと頭を下げた。
キ「この度は、本当に申し訳ありませんでした」
あー、さっきまでその椅子にはハルが座っていたはずなのに、今はキヨがいる。本当に夢じゃないのかな?
……じゃなくて!
『え? いやいやいやいや、キヨは悪くないでしょ! じゃなくてキヨさんは悪くないです! 謝らないでください! ほんとに!』
推しに謝らせるとか、ほんと自分が許せなくなるって。
全く顔を上げる気配がない推しを見ながら、空気を読んで席を外してくれたハルに早く戻ってきてくれと必死に念を飛ばした。
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みやこ(プロフ) - きょちゃちゃさん» きょちゃちゃ様、コメントありがとうございます( ¨̮ )不定期更新にはなりますが頑張ります!楽しんでお読み頂けると幸いです☺︎︎︎︎ (2022年12月17日 23時) (レス) id: 49dadc6dbe (このIDを非表示/違反報告)
きょちゃちゃ - んんっ...続きがめっちゃ気になります...!更新楽しみにまってます! (2022年12月9日 9時) (レス) @page22 id: a2b9d0ac16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやこ | 作成日時:2022年10月7日 14時