story 13 ページ14
マネージャーの運転する車で事務所に戻った私は、社長室に行くように言われた。
『失礼します』
社「ああ、来たか」
『お疲れ様です、社長』
笑顔で頭を軽く下げると、社長はうんうんと笑顔で頷いて私をソファーに座るよう促した。
私がソファーに座ると、社長は早速本題を提示してきた。
社「君がグランプリを受賞した、うちの会社が主催しているオーディションがあるだろう？ あれの広告塔を今年は君に任せたい」
『え？ でもあれはもっと若い子がやる方が良いんじゃ…』
社「今うちの事務所の顔は君だと、私はそう思ってる。何歳だろうと関係ない。勢いに乗っている者がやるべきだろう」
『……』
社「どうした？ 気が乗らないのか？」
『い、いえ。謹んでお受けします』
社「そうか。それと、今年から女優だけではなく俳優のオーディションも一緒に開催しようと思っていてな。俳優の広告塔は井上亮太に任せた」
『井上くんですか』
社「ああ。顔合わせの日程をそれぞれのマネージャーに頼んでおくから、よろしくやってくれ。頼んだぞ」
『分かりました。大役への抜擢、ありがとうございます』
お辞儀をしてから、私は社長室を出た。
私が芸能界入りすることになったオーディション。
それは明るくて、そして苦しい思い出。
マ「お、お疲れ。話聞いたか？」
『あ、うん。オーディションの広告塔、私なんかでいいのかな』
マ「何言ってんだ。連ドラに映画、引っ張りだこの遅咲き女優が」
『遅咲き女優って言うのは、褒めてる？ 貶してる？』
マ「もちろん褒めてる」
そう。芸能界に入ったばかりの頃の私は全然売れてなくて、何度故郷に帰りたいと思ったか。
何度涙を流して、そして彼を思い出したか。
何度、キヨくんの手を離して夢を選んだことを後悔したか。
それも今になっては、昔のことだけれど。
でも、キヨくんから離れて後悔したことは変わらないし、むしろ彼に再会したことで余計後悔する気持ちは強くなった。
それに、彼は何度も出てくるのだ。
私が彼を忘れられない呪いをかけるように、何度も何度も私の夢にキヨくん出てくるのだ。
そして今、オーディションの話を聞いただけで彼のことを思い出している。
些細なことで彼を思い出してしまう私は、自分で自分自身に彼のことを忘れない呪いをかけているのかもしれない。
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あもも - 初コメ失礼します。100票目頂きました!()凄く面白かったです。kyさんの夢小説はあまり読んだことはないのですが、物凄くよかったです！途中で泣けるシーンもあって感動しました。素敵なお話で読んでいて楽しかったです！*^^* (2022年8月1日 1時) (
レス) @page42 id: 79394f6964 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - りんかさん» りんか様、コメントありがとうございます。初めての夢小説ということで、数ある作品の中からこの作品をお選び頂けたこと、大変光栄に思います☺️また別の作品でお会い出来れば幸いです。 (2022年7月28日 16時) (レス) id: 49dadc6dbe (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - ス、すごい、、、初コメと初めてキヨ。さんの夢小説を呼んでみたのですが､こちらの作品が初めてなので新鮮な気持ちになりながら読むことが出来ました!!なんなら途中のところとか気持ち入っちゃって泣きました、、、、笑 (2022年7月19日 3時) (レス) @page42 id: 1914ce7fa9 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - 光希さん» 光希様、コメントありがとうございます☺️楽しんでいただけたようでなによりです！また次の作品もよろしくお願い致します✨ (2022年6月20日 18時) (レス) id: 49dadc6dbe (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - 完結おめでとうございます！読みごたえがあって、全て楽しく読ませていただいておりました。お体にはお気をつけください！次の作品もまた、応援させていただきます。 (2022年6月18日 12時) (レス) @page42 id: a57a548651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みやこ | 作成日時：2022年4月5日 16時
