ギミーラブ【龍宮寺堅】

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「Aも早く入れよ」





「う、うん」






彼の胸まであるプールの水位に、私はしばらく動けないでいた






これ絶対に顔まで浸かっちゃうよね…






「龍宮寺くん、やっぱ私向こうから入ってくる」






「もしかして足つかねえの」






彼はニヤニヤして私に尋ねた
　





「つくよ！


つくけど、前髪死にたくないし」






そう言うと彼は「ん、」と言って腕を広げた






「え」






「ほら、来いって


運んでやるから」






「いや、む、無理！！」






咄嗟に私は拒否した






「だって私、重いし…」





それに龍宮寺くんの胸に飛び込むなんて、考えただけで恥ずかしい！！





服を着てるならまだしも…





しかし彼の手は腰に回されていく





おいで、なんて優しく言われるもんだから、もう素直に従うしかなかった






彼と私の肌が隙間無くくっつく






「…っ」






ピタッと密着した瞬間、思わず鳥肌が立ちそうになった






やばいって、こんなのもう裸で抱き合ってるようなもんじゃん！！(違う)





服を着ている時とは違って、肌の感覚が直に伝わってくる





うぅ…緊張して何も喋れない…





「……」





しかし、彼も私と同じくダンマリを決め込んでいた





なんで龍宮寺くんも黙っちゃうの！？





いつもハグする時は「心臓うるさ」とか色々言ってくるのに…
　





この状況での沈黙は死ぬほど気まずいじゃん…




.




.





.






「今日人多くね」





沈黙を破ったのは龍宮寺くんだった






「思った、子供多いよね」






「…お前、ガキだからって油断すんなよ」






「あ、うん」






龍宮寺くん、なんかめっちゃ過保護になってない？？






子供相手にそんな警戒しなくても…






その時、ポタポタと雨が降り出してきた





「…今日雨降るなんて聞いてないんだけど」





「ついてねえーな」






見上げると、空全体が真っ暗な雨雲に覆われていた






その雨は次第に大雨に変わり、雷が落ち始める






「まもなく、当施設は営業停止いたします」






そしてまさかの閉業アラーム





初めての一日デートはゲリラ豪雨により、来て二時間で台無しになってしまった

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