スターラブレイション 【吉沢亮】

episode29 ページ29

ドラマの役柄で恋人役の二人が結婚することは少なくない。


それの何十倍も交際するカップルはいる
表沙汰に出るか出ないかも含めてだ



「…」

カシャッカシャッ


シャッターを切られる度に違う表情にコロコロと変えなければいけない

幸い今回はドラマということもあり衣装は演じているOLの制服姿。


隣の吉沢は爽やかな笑顔を貼り付けて口角を前面に上げている

恐ろしい男だ。




"では吉沢さん、後ろからユリさん抱きしめてください！"


そしてカメラマンも何というものをぶつけてくるんだ。
この男と共演する女優は今後も叩かれるのだろうか…
いや、私は悪くない
悪いのはカメラマンとキャスティングした企画者。
よし割り切っていこうー！



ギュッ


何のためらいもなく後ろから腕を回してグンッと距離が近くなる


最近の私はどうもおかしい
前は緩みっぱなしの顔では無く、内面からドキドキしっぱなしで身体が熱く火照るような感覚に陥る


ドラマの設定上、吉沢が私にベタ惚れな役の為至近距離で詰め寄ってくるシーンも後半戦に連れて増えている

前半では揺るがなかったヒロインの気持ちも話が進むにつれ変化が起きている
吉沢演じるサラリーマンに何度も告白されているうちに彼に心揺らいでいっているのだ



"いいねーユリさんの表情リアルでいいよ！"


頼むからそんな大きな声で言わないで…
まるで私が吉沢にときめいてるみたいに聞こえる…



MG:いやー売れっ子になったねあんた。

「マネージャー様のおかげでございます」



ドラマ撮影の合間、お昼ご飯を食べながらマネージャーと近日のスケジュールの調整。

銀魂のドラマの舞台挨拶、
今のドラマの撮影と新CMの撮影
そして雑誌のインタビュー…



『ん』
「何」
『差し入れ』


まだキンキンに冷えているクーリッシュを渡された
懐かしさを感じるわ…



『忙しいねー売れっ子ちゃん』
「うわっ嫌味ったらしい…」


MG:吉沢さん来年の仕事も決まってますよねー


だろうなぁ…
魅力を感じるのも分かる

同じ空間にいるのにまるで映画を観ているような感覚になる


「…あ。ねえそういやちょっと前に神木君に言われたんだけどさ」


グシャッ


…ん？
呑気にクーリッシュを飲んでいた吉沢が突然動きが止まった


…ん？


『何』
「え、あーもしかしてユリちゃんって…って言われたんだけどあんたもしかして何か言った？」



『…知らね』

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