スターラブレイション 【吉沢亮】

episode11 ページ11

MG:この後撮影だけどそれだけ？


「うん」


この1週間、トマトだけ食べてる
美味しいからいくらでも食べれるなー…


MG:もうすぐ夏なのに倒れるわよ？特にお米食べないとさ〜


そんなこと言われたって聞く耳を持たない
お米なんて20歳を過ぎてからずっと食べてない

食べたいと思っても食べれない


あの白い塊が怖い


最初のうちは炭水化物だからと抜いていた
けど、食べた時の満腹感が嫌で気付いたら食べれなくなってしまった



MG:ガリガリよりも健康体が一番よー

「…うん」



分かってはいる
分かってるけども太るのは怖い


移動の間に台本を覚えながらトマトをひたすら食べる


・




・



"ユリさん、前より痩せました？"
「え？」
"顔色もあまり良くないですよ？食べてます？"


スタイリストさんにそう言われ、楽屋の自分の顔を見ると青ざめていた


「だ、大丈夫です。食べてますから…」


"ならいいですけど…気分悪くなったら言ってくださいね？"



…本当は大好きだ。


環奈ちゃんがくれたチョコレートも、生クリームがたっぷり乗ったケーキも焼肉も大好きだ


だけどもう戻りたくない
やっとこの体型で仕事が来るようになったんだ



・



AD:ユリさん入られますー！


パチパチパチ…


オフィス仕様のスタジオで、初めての撮影。

エキストラの方や課長役の大物俳優さんが沢山いる中で主演の私。


出会いはバスで私が落し物をするシーンからだが、それはまた別日に撮影


二度目に取引先の吉沢亮がうちの会社を訪れた際のシーンを今日撮影する


まず書類を抱えた私が吉沢亮とぶつかるシーン…




吉沢亮はスタジオの端でスタンバイ済み。



AD:3、2、1…



prrr…

"この書類のコピーお願い"
"取引先の方々来るからお茶の準備してー"



電話や話し声から始まり、合図と共に端から私は小走りで掛けた


吉沢亮がドアを開けた瞬間に私がぶつかる


タッ…




駆けた瞬間だった



足元がふらついて視界が真っ暗になった



AD:…なんかユリさんおかしくないすか？


MG:…ユリ？



…ドサッ





・



監督:か、カット！！




そのまま床に倒れ込んでしまった




『…おい、おいっ！』

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