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「死んでも良くはありません！それに島民全員の避難がまだ…」
「まさか逆らうの？頭首様のご意志よ！」
食い下がるキリサメを、問答無用とばかりに切り捨てるイバラ。
けれど、それが逆効果だった。
頭首の意志と聞いて、キリサメは詰め寄っていた距離を取る。
その澄んだ目がちらりと私を見た。
操り人形だった彼女。
イバラの言葉を全て鵜呑みにして、何も考えずに従ってきたのだ。
けれど、それではダメだ。
善悪の判断を、他人に握らせてはダメだ。
声が出ないから、眼差しでそう訴えた。
やがて瞳からずれた彼女の視線は、確実に私の喉へ向いていて、おそらくそこについただろう男の手跡を目視する。
少しの思案の跡、彼女は意を決したかのように、ゆっくり目蓋を瞑った。
「昔、頭首様が聞かせてくれました。石化光線の力を、広範囲に濫用してはならないという言い伝えがあると」
頭首が生きていたと言うことは、それなりに昔の話なのだろう。
「島全体など前代未聞。どう考えても限度を超えた濫用です」
私を拘束するイバラの腕に力が籠るのがわかる。
見上げれば、彼の口角がどんどん下がっていくのが見えた。
けれど、キリサメは臆することなくまっすぐそんなイバラを見上げて言い切った。
「イバラ様。それは本当に、頭首様のご意志なのですか…？」
イバラが握り込んでいるメデューサ。
それを奪うのは、おそらく石化武器を使用しようとした瞬間だ。
ドローンで空中戦なんて私にはできないけれど、せめて石化するのと引き換えに海へ投げれば…
睨み合う二人に気付かれないよう、船下の海へ視軸を投げる。
すると、音を立てないように、海面からこちらの様子を伺う陽と目が合った。
彼は手に持った拳銃を指差して、何やらコンタクトを取ろうとしていた。
今ここは、船の舳先。
もう少しイバラが身を乗り出せば、彼の射程範囲に入る。
そこまで考えて、嫌な汗が頬を伝った。
殺人は嫌だ。
怪我をさせるのも好きじゃない。
できることなら人間らしく言葉で解決したいけれど、声はもう潰れている。
けれど、この石化武器を手に入れないと、それこそ多くの犠牲を出してしまうだろう。
腹を括るしか、ないんだ。
「うおおおおお見ろみんなー！！」
強く拳を握った時、海岸の方から、それはそれは大きな声が響いて聞こえた。
驚いて全員がそちらへ視線を投げると、小さなシルエットではあるけれど、石像が一体、崖先に立っているのが見えた。
「頭首は石像だー！！！」
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sora(プロフ) - カルーアさん» とても長い作品になってしまいましたが、終わりを惜しんでいただけて感無量です。なかなか世の中が落ち着きませんが、カルーアさんもお気をつけてお過ごしくださいませ。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年12月28日 23時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - カルーアさん» ご感想ありがとうございます。どんなに色んなものがなくなっても、人間の根底はそう変わらないと私は思っています。彼が好きだからというよりも、彼女のどこまでも人間らしい気持ちが、何より裏切りたくないという誠実につながるのではと考えました。なんだかんだで→ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - この世の中コロナも変異種が出たりと不安が多いですし、soraさんも体調には気をつけてどうかお過ごしください。続編も楽しみにしています。 (2020年12月28日 9時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - 人生青史�ゴ扱襪�めでとうございます。夢主ちゃんは記憶が無い中で本の中の自分とその自分が愛している千空を信じ続ける姿に心打たれます。もうすぐ終わりということでとても寂しく思いますが、最後まで心より応援させていただきます。 (2020年12月28日 8時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 坂田銀糖さん» 書き込みありがとうございます。本当は毎日更新をまたしたいのですが、なにぶん気分の上下が激しく…できる時にまとめて更新になってしまい申し訳ありません。後少しで彼女と彼の関係も変わるかと思います。もう少しこのまま読み進めてください。よろしくお願いします。 (2020年12月27日 21時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年10月21日 9時
