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「都合ってなんだよ？」
どう言う？と言わんばかりに首を傾げるクロム。
島全体石化の範囲外ってのもあるが、きっと、あいつのシナリオはそうじゃねえ。
「見やがれ。逃げる小舟と別に、ペルセウスに向かっていくのが一隻ある」
「フゥン…なるほど。キリサメか」
「ククク。憶測だがな、あのバカの考えそうなことだ」
おそらくメデューサがイバラに届く瞬間を狙ってやがる。
そして、モズは氷月が、そしてAがイバラの注意を引いてるおかげで、こうして俺らには時間ができた。
海風が垂れる前髪をさらう。
その隙間から見えるペルセウスは、もうかなり遠かった。
船から海へ飛び降りる時に見えた、あの黒曜石の煌めきは死んじゃいなかった。
助けを求めるでもなく、恐怖するでもねえ。
自分にできることを考えて、危険を承知で、自らの意思で残ったんだ。
「…どこまでもバカな博愛主義者だ」
甲板へ登ってきたキリサメ。
私は相変わらずイバラに片腕で拘束されたまま、こちらへ歩み寄ってくる彼女を見た。
状況の判断がついていない彼女に、イバラは手を差し出して石化武器を出すよう告げた。
「この飾り持って…」
そしてソレをこれ見よがしに見せながら、キリサメの後を追いかけてきた戦士の一人…オオアラシを振り返った。
「今すぐネ、島の真ん中まで走って！オオアラシちゃ〜〜ん」
「？？」
キリサメとモズ以外の島民は、全て石化は頭首の能力だと思っている。
だから何も知らないオオアラシは、目の前に突き出されたメデューサを見て目を白黒させた。
それもそうだ。
たった今侵入者を追ってこの船まで来たのに、訳もわからず島の真ん中まで走れと言われたのだから。
全てこの場で暴露しようと思ったけれど、さっきの宰相との攻防で喉が潰れたのか、口からは吐息と一緒に空気が抜ける音しかしない。
「まさかイバラ様、島をまるごと…」
そんな私をちらりと一瞥したキリサメは、すぐにイバラに向き直った。
「でも！島中央で石化装置を光らせたら、オオアラシ本人はどうやって逃げるのですか？！」
当然の心配に対して、イバラは小さな沈黙を落とす。
しかしすぐに冷たく言い放った。
「どうでもいいじゃない。そんなこと」
唖然とするキリサメに、まるで内緒話でもするように巨躯が覆いかぶさった。
「一応ネ、妖術使いどもがネ、石化解く薬持ってるの。でも保険は張らないと。キリサメちゃんはおじちゃんの護衛に残って、ホラ、死んでもいいオオアラシにネ」
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sora(プロフ) - カルーアさん» とても長い作品になってしまいましたが、終わりを惜しんでいただけて感無量です。なかなか世の中が落ち着きませんが、カルーアさんもお気をつけてお過ごしくださいませ。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年12月28日 23時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - カルーアさん» ご感想ありがとうございます。どんなに色んなものがなくなっても、人間の根底はそう変わらないと私は思っています。彼が好きだからというよりも、彼女のどこまでも人間らしい気持ちが、何より裏切りたくないという誠実につながるのではと考えました。なんだかんだで→ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - この世の中コロナも変異種が出たりと不安が多いですし、soraさんも体調には気をつけてどうかお過ごしください。続編も楽しみにしています。 (2020年12月28日 9時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - 人生青史�ゴ扱襪�めでとうございます。夢主ちゃんは記憶が無い中で本の中の自分とその自分が愛している千空を信じ続ける姿に心打たれます。もうすぐ終わりということでとても寂しく思いますが、最後まで心より応援させていただきます。 (2020年12月28日 8時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 坂田銀糖さん» 書き込みありがとうございます。本当は毎日更新をまたしたいのですが、なにぶん気分の上下が激しく…できる時にまとめて更新になってしまい申し訳ありません。後少しで彼女と彼の関係も変わるかと思います。もう少しこのまま読み進めてください。よろしくお願いします。 (2020年12月27日 21時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年10月21日 9時
