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名前は本で読んで知っていた。
その2人は以前、石神村に火を放ち、私を拘束したことがある人達で、所謂、司帝国にとっても反逆者だった。
とても強いけれど、人を痛めつけたり、殺したりすることに抵抗がないことは知っていた。
だから、その2人がいる場所に向かったんじゃないかと考えて、心臓が急速冷凍された気がした。
立ち止まった私を、心配そうに見上げてくるニッキー。
その眼差しは無理するなと言っていたけれど、これ以上、何からも逃げたくないというのも事実だった。
あの科学者は、氷月とほむらがいる場所へ向かって、どうするだろう。
相手は最強の戦士モズで、太刀打ちできる戦力はこちらにはない。
必要ならニトロや、銃ですら生み出してきた。
危険なカードも、リスクを承知で切るような人だ。
どうしようと、正直足がすくんだ。
でも、時間は止まらないし、この間も彼らが危険にさらされているのは確かだ。
私は自分の天秤の決定をゆらゆら後回しにしながら、意を決して階段をまた降り始める。
決断は、分からない。
どうしたらいいのか、何が最善か、分からないけれど、それでも、とにかく彼のそばに向かわなくてはと思った。
船底まで駆け下りる途中、段々と人の気配がしてきて、最後の階段を降りる頃には、倉庫に入り切らない兵士たちが扉の前に溢れていた。
あっと思った時には既にこちらの存在は気付かれていて、あれよあれよと槍先が襲ってきた。
ニッキーがそれを払いながら進んでくれるけれど、予想通り、多勢に無勢で捉えられ、そのままおしくらまんじゅう状態の倉庫へ連れていかれる。
ニッキーは乱暴に最前線まで押し出され、倉庫の最奥に追い詰められた千空たちと合流させられる。
私はと言うと、案の定、イバラの指示で、彼の傍に捉えられた。
目の前には数人の兵士と、モズ。
その奥に、小さな牢屋を背にした、彼の姿が見えた。
俺にしては決断が下せず、沈黙を守る中、急に倉庫の入口付近が騒がしくなった。
全員の視線がそっちに向くと、ニッキーとAが拘束されて来たのが見えた。
ニッキーは俺らの傍まで追い立てられたが、やっぱりというか、当然Aは宰相様の横に連れていかれた。
灯りを絞った倉庫の中でも、あいつの黒曜石の鮮やかさは健在で。
間の距離だとか、こっちを睨みつける石化王国の戦士とか、全てを度外視した空間に放り出された気がした。
真っ直ぐと、その漆黒は俺を見つめてくる。
ふと、その唇が音を出さずに動いた。
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sora(プロフ) - カルーアさん» とても長い作品になってしまいましたが、終わりを惜しんでいただけて感無量です。なかなか世の中が落ち着きませんが、カルーアさんもお気をつけてお過ごしくださいませ。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年12月28日 23時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - カルーアさん» ご感想ありがとうございます。どんなに色んなものがなくなっても、人間の根底はそう変わらないと私は思っています。彼が好きだからというよりも、彼女のどこまでも人間らしい気持ちが、何より裏切りたくないという誠実につながるのではと考えました。なんだかんだで→ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - この世の中コロナも変異種が出たりと不安が多いですし、soraさんも体調には気をつけてどうかお過ごしください。続編も楽しみにしています。 (2020年12月28日 9時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - 人生青史�ゴ扱襪�めでとうございます。夢主ちゃんは記憶が無い中で本の中の自分とその自分が愛している千空を信じ続ける姿に心打たれます。もうすぐ終わりということでとても寂しく思いますが、最後まで心より応援させていただきます。 (2020年12月28日 8時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 坂田銀糖さん» 書き込みありがとうございます。本当は毎日更新をまたしたいのですが、なにぶん気分の上下が激しく…できる時にまとめて更新になってしまい申し訳ありません。後少しで彼女と彼の関係も変わるかと思います。もう少しこのまま読み進めてください。よろしくお願いします。 (2020年12月27日 21時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年10月21日 9時
