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「ないの？千空ちゃん、科学的のなんか切り札！」
「あー、ねえよもう。そんなもんは…」
船内の急勾配な階段を駆け下りながら、ゲンが焦った声を上げる。
お生憎なことに、ラボは島の中にあるし、手元にある薬品じゃろくなもんも作れねえ。
たとえ作れたとしても、規格外すぎる戦闘力を持ってるモズだ。
拳銃ですらあっけなく封じられちまった。
科学で対抗するにしたって、扱う人間の差がありすぎた。
船底のどん詰まり。
多くの貨物が山になってる倉庫の最奥まできて、ついに、俺らは退路を絶たれた。
「バイヤー！もう逃げるとこないけど？！」
「ヤベー行き止まりに追い込まれちまった…！」
突き付けられる数々の槍先。
ゲンやクロムが喚く声を聞きながら、この貨物の中身を使ってどうにか出来ねえか、最後の最後まで頭をブン回す。
「んー。残念」
「ハイハイ、侵入者クンたち！よく頑張ったネ。おじちゃん感動しちゃった」
後から兵士を連れて追いかけてきた宰相が、軽いノリで拍手をする。
「そろそろ終わりにしよっか」とこちらを見下ろす眼差しは、マジで皆殺しコースだ。
ありとあらゆる方法をシミュレーションしても、結局最適解は、残すところ一つしかねえ。
これだけは、本気で避けたかったんだけどな…
周りの奴らが、俺が何か策を弄するんじゃねえかと視線を投げてくる。
ないわけじゃねえ。
だが、諸刃の剣であることは確実で、(走ったのもあるが)冷や汗が大量に流れ出す。
後ずされば、背中に鉄格子の冷たさが伝わる。
目の前に迫る兵士の中には、拘束されたAの姿がねえから、きっとまだ甲板にいるんだろう。
状況打破の鍵は、たった一つ。
だがそのカードを引けば、最悪の場合、このままあいつに二度と会えねえかもしれなかった。
本来なら可能性が1％でもあんなら迷うことがねえ選択なのに、今回ばかりは、それだけが気がかりで。
俺は強く目蓋を瞑った。
モズの攻撃を躱しながら、千空たちは船の中へと逃げ込んでいった。
すぐそばで弾けた銃声にやられていた片耳もだいぶ回復して、動悸も落ち着きを取り戻し始める。
冷静さを取り戻し始めた私の頭は、即座に動き始める。
イバラは、こちらを見もせずに残りわずかな兵士を連れてモズを追って行った。
きっと、また見えないところでモズが変な気を起こさないように、と目を光らせに行ったんだろう。
それでも用心深いから兵士が一人だけ残っていた。
私1人なら、それで十分だと思ったんだろうけれど…
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sora(プロフ) - カルーアさん» とても長い作品になってしまいましたが、終わりを惜しんでいただけて感無量です。なかなか世の中が落ち着きませんが、カルーアさんもお気をつけてお過ごしくださいませ。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年12月28日 23時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - カルーアさん» ご感想ありがとうございます。どんなに色んなものがなくなっても、人間の根底はそう変わらないと私は思っています。彼が好きだからというよりも、彼女のどこまでも人間らしい気持ちが、何より裏切りたくないという誠実につながるのではと考えました。なんだかんだで→ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - この世の中コロナも変異種が出たりと不安が多いですし、soraさんも体調には気をつけてどうかお過ごしください。続編も楽しみにしています。 (2020年12月28日 9時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - 人生青史�ゴ扱襪�めでとうございます。夢主ちゃんは記憶が無い中で本の中の自分とその自分が愛している千空を信じ続ける姿に心打たれます。もうすぐ終わりということでとても寂しく思いますが、最後まで心より応援させていただきます。 (2020年12月28日 8時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 坂田銀糖さん» 書き込みありがとうございます。本当は毎日更新をまたしたいのですが、なにぶん気分の上下が激しく…できる時にまとめて更新になってしまい申し訳ありません。後少しで彼女と彼の関係も変わるかと思います。もう少しこのまま読み進めてください。よろしくお願いします。 (2020年12月27日 21時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年10月21日 9時
