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記憶がねえぶん、あいつの向こう見ずな性格が如実に現れているようだった。
確かに、よくよく思い出せば基本単独行動の多いやつだったからな。
そう考えると、俺と付き合うようになってからだいぶ気を使わせてきたんじゃねえかと思った。
イバラの野郎がどんな思惑でペルセウスを動かしてるのか、その答えはすぐに判明した。
「おら歩けババア！死にたくなきゃとっとと船乗んだよ！」
俺らが隠れている草木から、それほど離れていない場所から乱暴な言葉使いが響く。
声の方を確認すりゃ、集落から島民を兵士たちが全て集めているのが見えた。
それが長蛇の列になって海岸へと続いてやがる。
「私の集落のみんな…？！」
「いや、おそらくは島民全てをペルセウスに集めている」
「何でそんなこと…」
龍水の言葉通り、海岸沿いには一つの集落から招集されたにしては多すぎる人数がいた。
クロムが余計に首を傾げたが、ちと考えればあの宰相の性格から答えは導き出せる。
ペルセウス号の積載量なら、こんなちっぽけな島の民くらい余裕で乗り切るだろう。
「つまり僕らにはもう、どこにも逃げ場なんて無いってことだ」
小さいなりに島の中には隠れる場所がたくさんあっからな。
羽京の言う通り、一旦船に乗せちまえば、問答無用で全員チェックも容易だ。
「ククク。あの宰相様がそれで終わるとは思えねえけどな」
「おう千空！他にも何か策があるって言うのかよ？！」
「侵入者がいることは明白なんだ。船の上から島全体を石化装置で覆っちまえば、俺らを一網打尽にできるって魂胆だろ」
最もシンプルで確実。慎重なイバラらしい判断だ。
「や、やべー…！！」
「そそそんなの大ピンチなんだよー？！」
慌て始めるクロムたちに「その逆だ」と上がった口角を見せつけてやる。
「ピンチこそチャンスじゃねえか。ククク、根こそぎブン獲れっかもしんねえぞ、敵の王国も、石化マシンも…！」
綺麗にやすり掛けさせた甲板の上に座らされて、まるでもう勝ち誇ったように笑むイバラに不愉快を覚えた。
当然のように兵士はイバラの護衛についているし、私の側にも2人、槍を構えたまま控えている。
「Aちゃんは本当に油断ならないからネ。でもそれっておじちゃんからしたら最大の評価なんだよ」
長い顎髭を弄びながらニヤニヤ笑う。
別に、あなたに評価されたって嬉しくもない。
そっぽを向くけれど、それを阻止するように長い爪をはめた指が伸びてきて、私の顎を掴んで上向きにさせる。
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sora(プロフ) - カルーアさん» とても長い作品になってしまいましたが、終わりを惜しんでいただけて感無量です。なかなか世の中が落ち着きませんが、カルーアさんもお気をつけてお過ごしくださいませ。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年12月28日 23時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - カルーアさん» ご感想ありがとうございます。どんなに色んなものがなくなっても、人間の根底はそう変わらないと私は思っています。彼が好きだからというよりも、彼女のどこまでも人間らしい気持ちが、何より裏切りたくないという誠実につながるのではと考えました。なんだかんだで→ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - この世の中コロナも変異種が出たりと不安が多いですし、soraさんも体調には気をつけてどうかお過ごしください。続編も楽しみにしています。 (2020年12月28日 9時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
カルーア(プロフ) - 人生青史�ゴ扱襪�めでとうございます。夢主ちゃんは記憶が無い中で本の中の自分とその自分が愛している千空を信じ続ける姿に心打たれます。もうすぐ終わりということでとても寂しく思いますが、最後まで心より応援させていただきます。 (2020年12月28日 8時) (レス) id: 0fc594eb2a (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 坂田銀糖さん» 書き込みありがとうございます。本当は毎日更新をまたしたいのですが、なにぶん気分の上下が激しく…できる時にまとめて更新になってしまい申し訳ありません。後少しで彼女と彼の関係も変わるかと思います。もう少しこのまま読み進めてください。よろしくお願いします。 (2020年12月27日 21時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年10月21日 9時
