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今度は賢者の質問に答えられるように、屋敷の中の壁や床、庭、あらゆるものをしっかりと目に焼き付けた。
賢者の屋敷はとても美しく作られていて、少年はその素晴らしさに目を奪われた。
そしてまた賢者の元へ戻って、今度は屋敷でみたものの詳細を答えた。
「それで…？」
「屋敷はきちんと見れたけれど、少年はスプーンの油をすっかり忘れてしまっていたの」
「…意地悪ね」
「そう？でもそれが全てだよ、キリサメ」
意図がくめずに訝しげな表情の彼女へはにかむ。
「賢者が少年に教えたことは『幸福の秘密とは、世界の全ての素晴らしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないこと』」
いまいちピンと来ていない彼女から視線を外し、放置していたココナッツを手に取る。
かわいた喉を潤してから、もう一度彼女を見たら、続きを待つ子供の眼差しがそこにあった。
「あなたのスプーンの油は大丈夫？」
それは原点とも、油とも、夢とも、希望とも、幸福とも言う。
私たちの身体の中心、心の奥底で常に存在する軸のようなもの。
日々の忙しさや、目まぐるしく変わる世界に、その大切なものを忘れてしまってはいけない。
逆に、そればかりに目がいって周囲の変化や、思いやり、感謝を忘れてしまってもいけない。
「あなたが頭首の言葉に忠実なのは構わない。けれど、何故そう指示されたのか？それが本当に大切な人のためになるのか？それを考えることを止めないで」
きっと何かしらの理由があって、彼女は頭首へ忠誠を誓うに至ったのだろう。
人を石化するなんていう恐怖政治を強いる人とは、私は絶対相容れないけれど。
でもこの純粋なキリサメが惹かれたというなら、もしかすると根はいい人なのかもしれない。
宰相であるイバラに唆されて…なんて、容易に想像がつく。
少しでもこの話でキリサメが、自分の考えで動けるようになったなら。
もしかしたら、頭首のために彼女が良い方向へ働く1つの波紋になるかもしれない。
…なんて、高尚なこと言ってるけれど、結局は彼女の幼子のように輝いた瞳が嬉しかっただけなのだけれど。
「ごちそうさま」
食事を終えた私を見て、キリサメはハッとしたように距離をとる。
それから食べ終えた果物を集め、さっと立ち上がって小屋を出ていった。
月が南中高度に達するまで、まだ2時間ほどの時間がある。
Aからの報告を待つまで1時間半。
その時間を使って、俺たちはスパイチームが見つけたプラチナのゲット方法を考えていた。
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sora(プロフ) - 北さん» いるように、きっと強い重力が働いているのではないでしょうか。そういう2人であって欲しいと私は思っています。原作自体一人ひとりの魅力が強い漫画ですので、彼女も同じように恒星になれたら嬉しいです。応援ありがとうございます。北さんもお体ご自愛ください。 (2020年8月30日 15時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 北さん» いつも書き込みありがとうございます。彼女も少しずつ成長をしているのかもしれません。記憶がないからこそ自分の二本足でしっかりと立ち、自分のいく末を選択するんだと思います。でも潜在意識というものが人にはあるとも思っていて、生涯のパートナーを直感で選ぶ人が (2020年8月30日 15時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - また心から笑い合える日を待っています。これからも応援しています。無理のない程度に頑張って下さい。長文失礼致しました (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - もしれません。もし私が彼女の立場であったら、簡単に千空を信じられないでしょうし、自ら行動なんて起こせないでしょう。sora様の描写の素晴らしさもあってか、いつもより強く感じます。素敵です。けれど、やはり記憶が戻って欲しいのもまた事実。千空と愛史ちゃんが (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - 完結お疲れ様です。実を言えば記憶のある愛史ちゃんよりも記憶のない愛史ちゃんの方が好きだったりします（勿論どちらも好きですが）惚れたと言いましょうか、、、。自分の記憶がないのにも関わらずいつも通り、いや、それ以上に真っ直ぐで頭の良い彼女に憧れているのか (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年8月2日 17時
