救世の英雄�� ページ15
夜を狙ったのは、石化装置の存在をギリギリまで気づかせないためだろう。
小さいとはいえ複数となると誰かしらが空を見上げた時に違和感を覚えるはず。
「…でも、この考察はあくまで憶測だよ」
上空からというワードひとつで行動に移せる千空とは違い、私の頭では答えが出ない。
私の仕事は細かく記録を残すことだ。
それを後々、誰かが何かに知識として使う日がくるはず。
そうであることを祈って、私は松風へ細かな質問を始めた。
一日経って、夜。
相変わらず沖に停泊中のペルセウス号の通信室に、私は杠と共にコン詰めてばかりのみんなへ配膳をしていた。
ずっと計測器ばかり見ていた千空だったけれど、区切りがついたのか、私からお肉が盛られたプレートを受け取る。
「…お疲れ様です」
「あ？なんで敬語なんだ」
なんでも何も。
「千空先生は随分と楽しく科学の詰め作業をしてらっしゃったようで」
「…やけに棘があんな」
別に。
拗ねてると認めたくはないし、そもそも機嫌が悪いわけでもない。
でも、松風のところまで引っ張っていったのは千空の癖に、と思ってしまうのも事実だった。
「…で、何かわかったの？」
「あー。ご丁寧に定期的に垂れ流してくださる電波をパラボラでキャッチしてな、自転利用しながら計測の基線長を」
「分かんない分かんない」
結果が知りたいのにわざわざ遠回りして話す千空に、周囲のみんなもやきもきしている。
それを代弁するように言葉を遮れば、ニヤリと彼の口角が上がる。
「楽しい逆探知の結果、敵の発信源は数10万km上空ってこった」
そう、ホワイマンは、
「月面にいる」
「月？！」とざわめく声。
私は金槌で頭を殴られたかのような衝撃を受けた。
ホワイマンが月にいる…？
「ありうるのかそんなことが…！」
「フゥン、無策で放置すればいずれ必ず滅ぼされるぞ」
「だがそんな場所では私たちには手も足も出ないじゃあないか…！」
驚愕、焦り、絶望。
様々な感情が言葉と態度にあらわになって、部屋中に溢れ出る。
そんな中、黙々と一人で食事を終えた千空は、静かに空になった皿をテーブルに置いた。
コツンと、食器とテーブルが擦れる音すらも聞き取れるほど、私は彼に集中していた。
「待って待って待っていやもうこれ悪い予感する…たぶ〜〜〜ん絶対当たるやつよコレ。この原始のストーンワールドで…」
メンタリストの口早なセリフを奪って、彼は、世紀の科学者は、胸を張って言った。
「俺らは、月に行く！！」
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綾瀬 - 続きの月の船も、もちろん拝読させていただきますが一旦気持ちが抑えられず…コメントさせていただきました…。失礼します。 (4月25日 17時) (
レス) id: 27ab9d3713 (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬 - コメント失礼します。毎日読み進め、作品に浸る時間がとても楽しかったです。読み終えて、こんなにも充実した気持ちになる作品に巡り会えとても嬉しい気持ちです。Dr.STONEは勿論好きですが何よりsoraさんの文章力や表現が素敵で思わずコメントしました。大好きです。 (4月25日 17時) (レス) @page41 id: 27ab9d3713 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 鈴音さん» 書き込みありがとうございます。星の息を読んでアニメだけではなく原作の漫画まで読んでいただけたいただけたこと本当に嬉しく思います。私もDr.STONEが大好きなので、その気持ちが伝わる文章が書けていたと分かり、作者冥利につきます。完読ありがとうございました。 (2022年2月23日 10時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音 - コメント失礼いたします。作者様の素晴らしい文章力とキャラ設定がとてもとても好きです！もともとアニメしか見ていなくて、単行本を買うべきか悩んでいましたが、この作品をきっかけに購入しました！素晴らしい作品を読ませていただき本当にありがとうございます！ (2022年2月19日 21時) (レス) @page41 id: e5b68abb09 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - shiochanさん» ご感想ありがとうございます。単行本で彼らの復活は読んでいて、私もどのように関わろうかと思案中です。なかなか相性が合うのか合わないのか微妙なところなので、違和感のないように描ければと考えています。文字になるまでもう少しお待ちください。 (2022年2月6日 21時) (レス) id: a1dae06abc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年2月16日 19時
