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「やるな貴様ら！欲しいぜこれは…！」
「オホホ、ワクワクしちゃうでしょ帆船！」
「この船で行けっか？地球の真裏まで」
新しい復活者に造船作業をしていた奴らが興味深けに近寄ってくる。
「いや〜いっくらなんでもリームーだよね〜高級な船に慣れた現代人の航海術じゃ、こ〜んな腕で左右される原始的な船は」
記者から龍水がどんな奴か聞いたゲンが近寄ってきた。
いつものペラペラに軽い言葉で龍水を煽ったが、まるで見向きもしねえこいつは不敵に笑う。
「その質問に答える前にまずは撤収して船を守りな。当たるぜ船乗りのカンは？」
すっかり自分のものにしたトリコーンを指で押し上げ、空を見上げる龍水。
「急に気温が上がった。今14℃」
皮袋の中かから最近作ったばかりの温度計を取り出して見た。
「ククク、合ってやがる。ジャスト14℃だ」
俺の答え合わせにニヤリと笑った龍水は、続けざまに片手を掲げる。
「湿度も90%にアップして南南西の風…おそらく長江気団で影響を受けてシベリア気団を押し上げてる。多毛雲が時速60kmほどで接近中。つまり…」
バチンと、すでに聴き慣れ始めたフィンガースナップの音が響いた。
「間もなく春の嵐、メイストームが来るぜ…！」
どこまで正解か分からねえが、たしかに多毛雲がこちらへ這い寄ってくるのが見えた。
こりゃでけえ雨風が来るのは間違いねえ。
材木を濡らさないための皮布の調達を急がせようとした時、「千空！」と後ろからAに名前を呼ばれた。
結構な大きい声にその場にいた全員が振り返れば、クロムたちに手伝われながら大量の皮布を運んできたAがいた。
「分厚い雲が見えたから雨が降るかもと思って…」
ずいぶん急いだんだろう。
ふうと一息ついたAに流石だなと声をかけようとした。
が、俺の視界を遮るなにかが、いや、俺どころかその場にいた全員からAを隠すように、ソレが、Aの小せえ体を覆う。
正確に言えば、抱きしめた。
「はっはー！この世界でもまた会えるとは思わなかったぞA！俺のテティス！」
力強くAを引き寄せた龍水は、そのまま流れる動きでAの両頬にチークキスを落とす。
しかもご丁寧にリップ音までつけやがる。
目を白黒させるAはされるがままだ。
そしてあろうことか、まるで懐かしむように龍水の片頬に手を当てた。
「…りゅうすい？」
A、龍水、そして最後に俺。
そこかしこの視線が遠慮や無粋さを含みながら動き、俺は頭痛を覚えた。
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sora(プロフ) - さやなぎひまりさん» ご感想ありがとうございます。Dr.STONEから初めて知ったバンドでしたが、とても綺麗でどの曲も彼らに合っていて、少しでも多くの人にその世界観を感じてもらえたらと思っています。共感いただけて嬉しいです。まだ先は長いですが最後までよろしくお願いします。 (2020年7月10日 10時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
さやなぎひまり(プロフ) - 私がアプリでちまちま読んでやっと追いついたところなのですが、作者様が文学と青春を歌うあのバンドをいかに大事になさっているのかが良く伝わってきました。たしかにあのフレーズは彼を思い出させますよね、大いに共感しました。 (2020年7月10日 9時) (レス) id: 1c54ce4927 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 雪姫さん» 書き込みありがとうございます。宜候！素敵な歌で好きです。受験生ということで日々大変かと思いますが、遠くから応援しています。変わらず更新し続けていきますので気長に追いかけていただければ幸いです。2人の関係の変化をこれからも楽しんでいってください。 (2020年3月1日 23時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - やっぱり黒曜石可愛いです......!!!!千空と龍水に虐められて拗ねちゃう姿が年相応で微笑ましくなります。続きが気になります......!!!!!! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 宜候！端々の芸が細かくてついつい笑ってしまいます。受験生なため、勉強食事睡眠に一日を費やしていて更新を追えない状態ですが今でも楽しみにしています。早く最新話に追いつきたいです。 (2020年3月1日 23時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年2月9日 23時
