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降谷side
『ほんとあのセクハラ教官ムカつく。私が可愛いからって詰め寄りすぎなんだよ』
「お前が猫かぶりやめればいいだけだろ」
『そんなん出来るわけないだろ。お前みたいなクソ野郎じゃないんだし』
「クソはお前だろ」
早川の本性を暴いてからというもの、二人きりの時はいつもこんな会話をするようになった。
表ではいつも笑顔の彼女は俺の前だと冷たい真顔で話している。
「お前、猫かぶるのはいいけど景光のこと嫌いなら一緒にいるのをやめてくれ」
景光は早川のことを純粋に友達として好きだ。その話を俺はよく聞かされていた。
可愛い女友達の早川のことを話す景光はいつも楽しそうだった。けれど、彼女はそんな人間じゃない。俺はその方がいいけど、きっと景光はそうじゃない。
彼女に騙されている景光を見るのは嫌だった。
『は?嫌いなんて一言も言ってないわ。ただ猫かぶってるだけ。景光君は好きよ』
その言葉に嘘は無いようだった。
どうやら彼女は好きな人の前でも嫌いな人の前でも素を表すことはないようだ。
「…………ほんとなのか?」
疑いの目を向ける俺に早川は笑った。
『あんた、ほんと景光くんのこと好きなのね』
猫を被らない彼女が笑っているところを俺はその時初めて見た。
「(…………綺麗だ)」
彼女の笑顔を綺麗だと初めて思った。
『は?お前何笑ってんの、きっしょ』
「ほんとお前口悪いな」
その時から俺はもっとその笑顔が見たいと思った。
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なみ - とっても面白いです。更新楽しみに待っています!!続きが楽しみです! (2019年8月8日 10時) (レス) id: 0ffda98372 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO - 面白いです!更新待ってます! (2019年4月14日 21時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
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