とんでもないアホ 3 【ツイステ】【男主】

101話 ページ11

Aside

楽しいハロウィーンウィークも終わり、
次に待っているのはこれまた楽しい期末テスト。

俺はリドルと放課後にテスト勉強をする約束をしていたので、ハーツラびゅル寮へと足を踏み入れる。

リドルは法律云々とかで、
授業が終わるとすぐに戻って行ってしまった。

寮長も大変なんだな。

現に、
通り過ぎる寮生たちはみなお洒落な首輪を着けている。






『……あれ、ここどこだろう。』



いつの間にか薔薇の迷路に入ってしまい、
出られなくなった。



一生出られなくなったらどうしよう。



食料とかどうすればいいんだ。


薔薇って食べれるのかな。



「何かお困りかにゃあ？」


食糧確保に悩んでいれば、後ろから話しかけられる。


『ああ、助かった。実は薔薇が食べられるか教えてほし…くて……。』


思わず口を閉ざす。

そこにいたのは、宙に浮く猫耳の生えた頭。


もうハロウィーン終わってるよ。

とは口が裂けても言えない。


こんなに凝った仮装(？)をしているのに、そんなことを言えば彼は息をしていられるだろうか。

落ち着け、相手は猫だ。猫耳生えてるから。

まずは猫語でコミュニケーションを取るべきだろう。

頭の回転が速い俺はすぐに答えに辿り着いた。


『ナ"オ"オォォォオ。』



「猫の真似かい？全然似てねーにゃあ。」



『喋れんのかよ。』

しかも猫の真似じゃない。

これはれっきとした猫語だ。

何せ俺はルチウスとよく会話をするので、
猫語は得意である。


この前だって、トレインセンセーに「酷い鳴き声だ。」と褒められたことがある。



「俺はアルチェーミ・アルチェーミエヴィチ・ピンカー。」

え？何？名前？

『…あ？マルチーズ・マルチーズエビチリ・シンガー…？』

あまり良く聞き取れず、
俺の中で構築された名前を復唱する。


「犬になってどーすんだい？俺の名前と全然ちげーにゃあ。」


『エビチリ・シンガー…美味しそうな名前だね。』

エビチリ・シンガーといえば、昔海にはとても優秀な楽長の赤蟹がいたと、フロイドから聞いたことがある。

蟹も歌う時代があったんだな……。としみじみ思う。


「……さてはおみゃー、話の通じねえやつだにゃあ？」

ああそうだ。猫耳の生首と話してたんだ。

『それで、エビチリクン。残念なことに…ハロウィーンは終わっているんだ……。』

あまりの悲劇に、俺は顔を覆う。



俺だって仮装をするために努力したんだ。



こいつはどれだけ悲しいことか……。

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