とんでもないアホ【ツイステ】【男主】

18話 ページ20

Aside


どうやら違ったらしい。

こんなにダラダラしている生き物、ナマケモノくらいしか俺は知らない。

いや待て、確かこの獣人は、「食ってやろうか？」と言っていた。


つまり、肉食獣ということか。
しれっとヒントを与えてくれるなんて、最初は悪そうなヤツだなとか思っていたが、案外優しいのかもしれない。





さてと、肉食獣……。


また顎に手を当てて考える。

顎に手を当てるのは、単に頭良さそうに見えるから。





肉食獣といえば…？



『…ねえ、猿って肉食獣？』

「…はァ？」

猿とは、何食獣なんだ。
俺と同じバナナを食べるイメージがある。

つまり俺と同じ種族ということだ。

そして、俺は何食獣だ？

バナナ食べるからバナナ食獣？

てことは猿も？


頭の中で猿についてグルグルと考えを巡らす。


この間、なんとコンマ0.00001秒。


頭の中でこの文章使ってみたかったんだよね。



これが頭脳明晰ってやつか……。




あれ、そもそも何について考えてたんだっけ。



目の前の獣人に目をやる。



こちらをなんだコイツ、とでも言いたげな目で見ている。


『ねぇ、ここで飯食っていい？』


何を考えていたか忘れたので、諦めて隣に座る。

「おい、許可取ってねェぞ。」

勝手に横に座るな、と足でゲシゲシと蹴ってくる。痛い。



『バナナあげるから。』

「いらねェよ。」



喉をガルル…と獣みたいに鳴らす獣人。


これ知ってる。猫が嬉しい時に喉鳴らすやつだ。


歓迎してくれていることがよく伝わってくる。



『俺はA・フィンズ。期待の1年生。』

バナナの皮を捲りながら言う。


「聞いてねェ。」


うわ、皮のネチョネチョが指に着いた。

俺バナナの皮ってちょー嫌い。

なんでコイツいっつもバナナにくっついてる訳？
俺の方が愛してるのに。

『今お昼休みだよ、なんか食べないの？』


特に動く気のない獣人に問いかける。

見た所、食べ物らしき物を持っていない。


「あー、面倒クセェ。」


また横たわった獣人。


『めんどくてもなんか食わないと、腹減るよ。』

ほら、腹が減っては猿も木から落ちるって言うでしょ。

つまりそういうこと。


「ちげェ、俺が言ってるのはテメェの事だ。」


『ほら、半分あげる。』



バナナを半分ちぎって、獣人に渡す。



「はァ……んだコイツ。」

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