空は青いときもあれば赤いときもある。 ページ1
空を見上げても、青い空は見えない。見えるのは鉄塊のみ。いつからこんなふうな空になってしまったのだろうか。そのことを知っているようで俺は知らない。
そして、この街のこともよく知らない…
ここに来た目的は墓参りと兄に会うことだが、兄にあってから墓参りに行かないとお墓の場所がわからん。だが、兄の職場の場所もわからん。うむ、これはどうしたものか。恥ずかしいが聞くしかないな。
『そこのキレイなお姉さん。今よろしいですか？』
「はい？」
怪しさ満載という顔をしながらも、俺の呼びかけに答えてくれた。歳は40後半だろうか、下手に地雷踏みぬくと面倒な歳だな。
『俺今迷子になってまして、もしよろしければ道を教えてはくれませんか？』
あくまで好青年に見えるように言葉遣いを丁寧にする。
「ええいいわよ」
まだ疑っている様子だが、教えてはくれそうだ。地図を取り出し顔を近づける。少し顔を赤らめた。
「で、右に曲がって……でここに着くわけ、そうねここからなら20分ってところからしら」
『そうですか、わかりました。ありがとうございます。』
ニッコリと爽やかな笑みを浮かべる。おばさんは顔を真っ赤にした。
おい、ババアのくせして何顔赤らめてんだ。まあ、俺の顔がいいし仕方がないか
その後名前やら連絡先やら聞かれたので、全て断った。既婚者に手を出すつもりなんてない。絶対にだ。恨まれて刺されたらたまったもんじゃない。
おばさんの言う通りに進む。だが一向に目的地にはつかない。
『おいおい、あのおばさん間違ったこと教えてくれたんじゃないだろうな』
一瞬だがあのおばさんを殴ってやろうかと思った。さて、ここからどうしたものか。落ち込み下げていた頭を上げると見えたのは万事屋の文字。ばんじやってなんだよ…漢字一文字多いだろ…絶対。よろずやって書きたかったんだろ、と思いつつも何でも屋だ、道案内もしてくれるだろう。階段を登り戸を叩く。
が一向に出てこない。いないのだろうか、いや、居るな…微かにだが中から物音がする。
なんで客きてんのに隠れてんだよ、お前ら金づるが来てんだぞ、いいのか俺帰るぞ。いや、なん帰るんだよ、バカか俺。困ってんだよ
今度は少し強めに戸を叩き、声をかけた。
『すみませーん。依頼したいのですが！！』
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作者名：雪妃 | 作成日時：2020年3月29日 2時
