強き人【鬼滅の刃】 (ページ16)

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｢母上｣

｢どうしましたか。A｣

｢…明日から、父上に稽古をつけていただけることになりました。｣

洗濯物を畳んでいる母上の手が、一瞬止まった。

でもすぐ、いつものように話し出した。

｢……慎寿郎さんは、愛しい娘だからといって手加減はしてくれませんよ。｣

｢…はい。｣

｢並大抵の努力では、慎寿郎さんについて行けませんよ。分かっていますか？｣

｢……はい。｣

洗濯物をたたみ終えた母上が、こちらを向いて真っ直ぐに目を合わせて、凛とした声で言う。

｢………自分の身体を大切にすること。これだけは、約束してください。｣

｢…っ、はい！！
父上のような、立派な炎柱になります｣

母上には、何もかもお見通しらしい。
何も言わずとも思いが伝わってしまう

｢ふふ、なら今日は早く身体を休めて明日からの稽古に備えなくてはいけませんね。｣

優しく笑って、私の方に腕を伸ばす。

引き寄せられるように近づいた私を、

ぎゅっ

っと抱き締めてくれた。

｢A、貴方なら大丈夫ですよ。自分の信じた道を進みなさい。｣

｢…はいｯ……っありがとうございます……(涙｣

零れ落ちそうになった涙をぐっと堪えた

母上にも、敵わない。