第2話【水底に沈んだもの】 ページ4
「呪具使い、禪院真希。 呪いを祓える特別な武具を扱うよ」
「真希ちゃん! よろしくね〜」
「特級呪術師、乙骨憂太。 数日前に転校してきたばかりの新人呪術師ね」
「乙骨くん、新人仲間なのね! よろしく〜」
「パンダ」
「パンダくんね! よろしく〜」
決して多くはない、これから共に過ごすクラスメイト達を軽く紹介していく五条と、それに合わせて常に笑みを絶やさずに挨拶を挟んでいくA。
テンポ良く進める二人を見ながら、乙骨は「(パンダには何も突っ込まないんだ…)」と、数日前に自分が抱いた感想を思い返していた。
「で、Aお気に入りの、狗巻棘。 呪言師の末裔で、語彙がおにぎりの具しかないから会話頑張って」
ほい、と五条が狗巻の肩に手を添えてAの前に突き出した。まるで生贄を捧げるかのようなその行為に、心なしか狗巻の顔は強張っている。
「そう、狗巻くんっていうのね…かぁわいい♡」
「おっ、か…か!!」
が、そんな狗巻の表情などまるで見えていないかのように、Aはその端麗な顔を近づけて狗巻の耳元で囁いた。
その声があまりにも色気を含んでいたせいで、自然と狗巻の肩は跳ねる。
精一杯振り絞ったであろう「おかか」は、赤い顔を必死に隠しながらでは何の意味も成さず、Aの至極楽しそうな笑みを深めるだけだ。
そんな二人を見ながら、「うんうん、青春だねえ」と見当違いな感想を抱く五条は、ぱんっと一つ乾いた音と共に手を鳴らして、告げた。
「じゃあ、五人揃ったことだし、早速実地訓練といこうか!」
「またかよ」
呆れた様子の真希が意味する“また”とは、数日前の乙骨転校日を指す。
真希たち一年生は、丁度数日前の午後も、同じように転校してきたばかりの乙骨を交えた実習という名の任務に赴いたばかりだった。
「いーじゃん。 五人いるんだし、チーム戦の練習にもなるよ?」
「来たばっかのやつとどう連携とれっつーんだよ。 しかもド素人だろ」
言いながら、乙骨とAを視界に捉える真希。うっ、と詰まった声をもらして申し訳なさそうな表情を浮かべる乙骨とは対照的に、Aは周りの話などどこ吹く風、というようにうっとりと狗巻を眺めていた。
「あ、その点は大丈夫大丈夫。 A、こう見えても準一級だから」
「…は?」
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カナデ(プロフ) - 頭のイカレた美女が大好きです!!!更新待ってます! (2022年10月29日 23時) (レス) @page30 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポチ | 作成日時:2021年3月16日 22時