手から花弁:: オロチ☆ ページ4
「……っくしゅん…」
私、Aは風邪を引きました。熱は39.1℃でだいぶ辛い。
「A、大丈夫か」
私の彼氏、オロチに迷惑をかけてしまっている。
「タオル……乾いてきたな……変えるぞ？」
「ありがと…」
おでこに伝わるヒンヤリとした気持ちいい感覚。気持ち……いい。
「ごめんね、オロチ……。私と一緒に桜見に行くって約束したのに……」
そう、約束していたのに……。だって、オロチと一緒に見るの楽しみだったのに。
「私、私は……オロチと一緒に見るのが楽しみだったのに」
「………A。………ちょっと待っててくれ」
待って？どこかにいくの？………いやっ！
「やだ！！待って！行かないで！！」
私はガシッとオロチの腕を掴んだ。
「いやなの！一人はいやぁ……」
ポロポロと涙が流れてきた。すると、困ったように笑うと「少しの間だけだ」と言っていなくなってしまった。
中にはオロチが残した煙が少しの間だけ残った。
布団から起き上がると水のいれてある桶が置いてあった。隣にはお盆の上に薬と水が置いてある。
「………うわぁ……」
薬かぁ……あれ、なんか苦いからいやなんだよね。
「………遅い」
少しの間って言ったくせに。
っていうか、いつの間にこんなに寂しがりやになったんだろう。
「遅い、おそーい！」
……はぁー、だる。
やっぱり病人はおとなしく寝ていなきゃ。
「A」
「………オロチ？」
「すまない、遅くなった」
「なにしてたの？」
「フッ……見ていてくれ」
ん？……幻覚？桜が舞っている。ここは部屋なのに。
「桜？」
「ああ、そうだ」
よく見るとオロチの手から桜が出ている。
「どうして……オロチの手から？」
「A、桜を見るのが楽しみだったのだろう？だから、花弁だけでもと思って集めてきたんだ」
「だから、いなくなったの？」
「ああ」
「……ばか……寂しかったのに」
「風邪を引くと人恋しくなるんだな」
「………でも、ありがと」
「礼などいらない。私はAが喜んでいる姿が見られればそれでじゅうぶんだ」
「来年は一緒に見に行こうね？」
「そうだな」
「約束だよ」
「約束だ」
今年は君と満開の桜を見ることができなかった。けど、変わりに桜の花弁だけでも見ることができた。隣には大好きな彼。どんな形であれそれが一番嬉しいんだ。
「看病もしてくれてありがとう。大好き」
オロチは微笑んでくれた。
Fin
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縁儺 - ダレノモノ？でちょっとヤンデレイラストを思い付いた…(コロナ中の癖に) (2022年9月6日 8時) (
レス) @page40 id: a1a94a6f52 (このIDを非表示/違反報告)
アンデル - ありがとうございます！ (2018年5月19日 16時) (レス) id: 72c08365b0 (このIDを非表示/違反報告)
アロア(プロフ) - アンデルさん» 分かりました！続編の方で書かせていただきますね！ (2018年5月18日 20時) (レス) id: dbf84190b2 (このIDを非表示/違反報告)
アンデル - リクエストでミッチーのヤンデレお願いします！ (2018年5月18日 20時) (レス) id: 72c08365b0 (このIDを非表示/違反報告)
アロア(プロフ) - 狼の歌姫さん» 了解です！！ (2018年5月11日 20時) (レス) id: dbf84190b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アロア | 作成日時：2018年4月6日 14時
