一生なんない ページ12
【玲於side】
玲於「待って！」
アユを無理やり押し退けて
お店を飛び出した。
ずきん、と響く足の痛みに
思わず顔を歪める。
…だめだ。
この足じゃ走れない。
休日の街を行き交う
雑踏の中。
見渡してみても
Aちゃんの姿はもう
どこにもなかった。
ーー友達です。ーー
あんなに感情のないAちゃん
初めてみた。
表情が読み取りづらくて
話し方も淡々としてるけど
明らかにいつもと違くて。
まるで、突き放されたみたいだった。
アユ「帰っちゃったねー？」
後ろからひょこりと
アユが顔を出す。
アユ「ね。
暇になったんなら一緒にいこーよ。
せっかく気を遣って帰ってくれたんだしー。」
玲於「…いかない。」
くるりと踵と返すと
席に置いてあった荷物をとった。
アユ「ねぇ、どこいくの？」
玲於「ついてくんな。」
お会計を済ませてお店を出ると
後ろからアユにぐっと腕を掴まれた。
アユ「ねぇ、なんでだめなの？
あたし事務所のイチオシだよ？
人気だってあるし若くてかわいいし。
同じアーティスト同士
色々わかりあえていいと思わない？」
玲於「…はなして。」
アユ「芸能人同士、理解があっていいじゃん。
あたしたち美男美女でお似合いでしょ？
なにがいけないの？」
玲於「…あんた自身はどこにいんの。」
冷めた目でアユを見下ろす。
いつも強気な瞳が
ぴくっと怯えたように揺らいだ。
玲於「事務所の猛プッシュが終わったらどーすんの。
年取ったら？芸能界引退したら？
あんたの価値はなくなんの？
俺もそーなったら価値とかなくなって
もうわかりあえなくなるんじゃないの？」
アユ「…そ、それは、」
玲於「悪いけど俺は諦めて。
俺は俺をちゃんとみてくれる人と
一緒にいたいから。」
掴まれた腕を振り払って歩き出す。
アユ「待ってよ！
諦めるとか勝手に言わないでっ。
もーちょっとあたしのこと
見てくれたっていいじゃん！」
玲於「じゃあ一生そこにいれば。」
アユ「じゃあ、待ってたらいつか
その気になってくれるの？！」
足を止めて
顔だけで振り返る。
泣きそうな顔でこっちを睨みつけてるアユがいた。
玲於「むり。
一生なんない。」
.
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ここ丸 - 続き気になりすぎて夜も寝れないです！！お時間あれば続き作って欲しいです！お話おもしろかったです (12月11日 0時) (
レス) @page28 id: 567dedf7ba (このIDを非表示/違反報告)
小野 - うわ！！完結ですか？その後のふたりが気になります！！また機会があればエピローグみたいなのお願いします！ (11月30日 0時) (レス) @page28 id: b52f40c2b8 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 素敵なお話をありがとうございました！！ (10月24日 13時) (レス) @page28 id: 185df01673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2023年10月11日 20時
