Kiss Store (ページ8)

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F.side

撮影も中旬になってくると忙しくて

1週間店に行けない日々が続いた

久しぶりに店を訪れると

カランカラン

あの席は空っぽだった

「こんにちはー」

ぼそっと声をかけると

ニカ君が戸棚の間から出て来て

「いらっしゃいませー

あっ、おにーさん！！久しぶり！！」

「あ、あのー。皆さんは？」

「ミツでしょ？
おにーさん探してるの笑
今奥で休んでてさー」

「え、なんかあったんですか？」

「うーん。たまにあるんだこういうこと」

「じゃまた後で…」

その後撮影に戻って夕方また訪れた

closeの札があったけど
手をかけたら開いたのでそのままおじゃました

カランカラン

「いらっしゃいませー。
すみません。今日はもう閉めたんですー。

って、あ、おにーさんか。本当に来た笑」

「どうですか具合のほうは？
あ、よかったらこれ。
頂き物ですけどたくさんもらったので」

拝借してきた差し入れのゼリーを渡した

「わぁー！お洒落なゼリー！！
ありがとう！
いやー。今日は無理かも」

「そうですか…」

なんだかそのまま帰る気になれなくていると
ニカ君が困った顔をした

「おいニカ、何やってんだよ。
閉め忘れたろ。音なってんぞ。」

奥からタマ君が出てきた

「こんばんは、昼間ニカ君に聞いて…」

「あ、そう。
じゃあわかるでしょ。今日は帰って」

「タマ！心配できてくれたのに
そんないいかた！！」

「はぁ、？わかってんならそっとしといてよ」

そのまま向きを変えて戻っていった

「ちょっとタマー！！

あっ！！ごめんね、おにーさん。
悪いやつじゃないんだけど…

今日のところは…また出直して来てよ

ミツも喜ぶし、俺も待ってるから！！

ゼリーありがとね！！」

バタバタバターっと

ニカ君まで戻っていった

カランカラン