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再会 ページ9

視界いっぱいに広がる新緑が眩しい木々。
注意深くよく見ると、その殆どが葉桜だ。

都内でも穴場的桜の見所スポットである。
桜の満開のシーズンだと、さぞ見ものであろう。

けれど、薄紅色の花弁達の姿はもう無く
空を見上げると、ひしめき合う年季が入った
太い枝。その先には、対照的な若々しい緑。
それらが、この広い公園全体を囲うように
埋め尽くしていた。


公園内を突き抜ける小さな遊歩道。

アスファルトには、薄紅色の花弁が茶色に
変色し、みすぼらしくまた未練がましく貼り付いていた。この枯れた大量の花弁達は滑りやすい為、
足元を気をつけながら前へと進む。


清々しい新緑の芽生えを眺める事よりも、
しっかりと下を向く事に注力していた。
地面にへばり付く茶色の花弁に足元をすく
われないように。



人を試すなんて..
ろくな事が無い――


今の心理的には、その萎びれた花弁達がそう言っているように映る。


欲しかったモノを手に入れた筈なのに、
新しい欲がまた私を困らせる...

とにかく誰かに、このどうしようもない胸の内を
聞いて欲しかった。

一心不乱に向かうは、久しぶりのポアロ。

引っ越ししてからは、そこそこ遠くなってしまった
その場所へ足を早めた。友人に会う為に。






..






チリリン――




軽快な鈴の音が来客を知らせる。


「いらっしゃいませ。」


店内に響く、明るく爽やかな声。
零君の代わりだろうか、いつぞやの男子大学生が
空いている席に誘導してくれた。

きょろきょろと店内を探すも、友人達はまだ来ていない。


「Aさんっ!」


懐かしい声。くるりと横を向くと、


「し、新一君!?」

「お久しぶりです、Aさん。」


最後に会った時から、随分大人っぽく変貌をとげた彼。少しはにかみながらも、綺麗に指を揃えられた手で、どうぞと同じテーブルにつくようお誘いを受けた。そこは、コナン君のお気に入りだった席。


「あ、ありがとう。」


いつものアイスコーヒーを注文しながら
まじまじと目の前の彼を見つめる。
詳細はよく分からないけれど、とある案件で彼が警察に多大なる貢献をしたと零君から聞いた事を思い出す。


「Aさん!は、恥ずかしいですよ..
そんなに見つめられたら穴が空いちゃいますよ。」

「ご、ごめんね!新一君見ない間に、凄くカッコ良くなったね!」


「ゲホゲホッ、」


落ち着いていた新一君は、何故か盛大に
咳き込みとても苦しそうだ。

「えっ!?だ、大丈夫??」

*→←*



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天然石 - 続きみたいです更新してほしいです (2023年1月10日 23時) (レス) @page26 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 続きが読みたいです (2022年8月4日 7時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
forevermemory1(プロフ) - お久しぶりです。体調に気を付けて更新してくださいね! (2019年12月14日 12時) (レス) id: 66905377fd (このIDを非表示/違反報告)
漬物小屋の住人 - 大好きです!!!!!いつまでも待ちます(^○^) (2019年12月14日 9時) (レス) id: 9b45cc3ea2 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 曇天に笑うさん、レイさん。貴重なご意見を頂き有り難う御座います。作品の事に関しては、ユーザー様が読む自由がある様に、書き手側も然り。書く内容も更新頻度も誠に勝手ながら私の自由な裁量により判断させて頂きたいと思います。 (2019年12月10日 6時) (レス) id: 1b0c412716 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ポポロン | 作成日時:2019年6月15日 12時

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