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「さっさと行くぞ。」
店外へ足を踏み出すと、まるでAの疑問に答える素振りではない降谷。
「待って！降谷君っ、」
「なんだ？」
素っ気無く返事をする降谷の手には、先程のセレクトショップの紙袋が数個。その中身の殆どが、Aが元々着用していたスーツやバッグなどだ。それと、今回のコーデに合いそうもない、フォーマルなあの黒のパンプス。この白いパール色の紙袋だけでも、ブランドの名入りで価値ある物だ。
「だから..一体何のつもりなの！？」
Aだって知らない訳では無い。はっきり言ってあのセレクトショップはハイブランドだ。勿論そのどれもが軽々しく購入出来る品々では無い。それ故に、降谷が勝手にAの為に上等な衣類をフルコーディネートであつらえ、そして涼しい顔をしつつ会計だなんて実に悩ましかった。
「今日は佐々木さんのスーツを見に来たんだよ。なんで私まで..」
「お詫び。」
やっと吐き出されたのは、周りの喧騒に掻き消されそうな程かすれた小さな言葉。すれ違う人々を上手く避けながら続けられた。
「はいっ？」
「だから、お詫びだよ。」
「お、お詫び..」
以前赤井との打ち合わせから帰る道すがら、Aが1人で転んで身につけていたパンプスの踵が駄目になってしまった時の事が蘇る。降谷は、ひょっとしたらその時の自身の強引な態度に引け目を感じていたのかも知れない。
「言ったろ？必ず埋め合わせをすると。」
わざわざ..埋め合わせだなんて――
「なんだ、忘れたのか？」
「忘れてないよ。でも、ここまでして貰う理由がやっぱり..」
そう、忘れる訳など無い。想いを寄せる相手との事なら些細な事だって..
「ふぅん..女性はこういう事、喜ばないのか？」
「そ、そんな事無いよ！」
「なら、別に構わないだろ。ははっ、これが正に馬子にも衣装ってヤツか。」
これが、今の降谷の精一杯だ。職務中はいつもやや吊り上がり気味の眉は、穏やかにその形を崩して行く。降谷が自ら選んだ衣装に身を包む、Aの可憐な美しさがそうさせた。
「もうっ、酷いなぁ。」
「ワンピース..折角だから、そのまま着とけ。スーツより良いじゃないか。お互いにスーツだと如何にも仕事と言う感じがして嫌だろ？」
曇り無く笑う降谷。本当に今日の彼のご面相は、そのどれもが貴重だ。そんな彼の前なら、素直になっても良いだろうか。屋外の歩道に差し込む春の陽気。揺れるワンピースの裾がなんだか擽ったい。高なる鼓動と共に声が弾んだ。
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翡翠 - 頑張ってね( ・`ω・´) (2020年6月25日 16時) (
レス) id: 724d0f98c3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃん(プロフ) - 新一が、コナンの時同様に、安室さんと接触していると言う事は、怪しい、イコール、組織の残党？か、何か事件？みたいに、盗聴器発信器を付ける癖がある。多分懲りずに夢主に絡んでききまくり、尋問誘導しまくるね (2020年5月14日 7時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
dear(プロフ) - ポポロンさん» 再度すみません。え、ほんとですか！こちらこそ、もったいないお言葉ありがとうございます！引き続きお話を楽しみさせていただきますね！ (2020年1月25日 16時) (レス) id: 5aa04aa1e9 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - dearさん» はじめまして！じ、実はわたくし『彼氏と本命が再会したようです』のファンなのです！ま、まさかdearさんからコメント頂けるとは嬉しい限りです(^ ^)更新頑張ります！ (2020年1月17日 18時) (レス) id: 1b0c412716 (このIDを非表示/違反報告)
dear(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございますー！これからの展開もすごい楽しみです。応援してます！ (2020年1月12日 14時) (レス) id: 734805a92b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロン | 作成日時：2020年1月11日 3時
