＊ ページ36
「今の私なら..
きっと零さんを満足させれます。」
「身も心も..」と付け加えると、降谷の大きな背中に
身体を温めるかのように背後から抱きつく。
降谷はそんな彼女のか細い腕を、無下にふり払えずにいた。
「さっきはごめんなさい。」
「いや、僕の方こそすまなかった。手、痛くないか？」
「えぇ、大丈夫です。それに携帯は、どうせ修理に出したら初期化になるし、安心して下さい。」
愛依は操作不能になってしまった携帯を、さほど気にしていないようだ。そんな事よりも、降谷に伝えたい事があった。
「零さん、もう... “ あの時 ” の私じゃないの。」
「そうだな..僕達はまだ..そう、若かった..」
降谷は何か苦いものでもあるのか、僅かに言いよどみながら愛依から逃げる様に、絡み合った視線を
分かりやすく逸らす。それに、反応を見せる愛依。
「私っ..零さんに利用されたってかまわない！
それに、パパならきっと貴方が望む地位を与えてくれる筈。」
「確かに君のお父さんの影響力は絶大だ。
僕も散々世話になった身。恩を報いたい気持ちはあるが...ごめんな、愛依。今回ばかりは応える事が出来ないんだ。」
愛依は懸命に、降谷の瞳を見つめ続ける行為をやめ、力無くベッドから降りた。ガラス越しの夜景に
吸い寄せられるかの様に逃げたのだ。
ちっともなびいてくれない降谷から。
それでも、最後まで足掻きたかった。
「いいの。私...2番目の女でもいいの。」
愛依は勇気を振り絞り、ガラス越しに映る降谷...
いや、自分に問う。
後に分かるだろう、愛依はしたたかな女だ。
「愛依、そんな事言っちゃ駄目じゃないか。
僕なんかに、そこまでする必要は無い。」
「零さん..そんなにその人の事が好きなの？」
「...」
暫く続く、静で支配された空間。それは、落ち着きを払い非日常的。これに、メロディアスなピアノ曲でも浮遊していれば文句無しだ。
ずっと無言の降谷、それは愛依の問いを肯定しているも同然。降谷もベッドから降りると、愛依が居る方へ向かう。
「あぁ、そうだよ。」
降谷は愛依の隣に立つと、ガラス越しに
夜景をぼんやりと眺めた。
「...でもね、その資格は無いと思ってる。」
今の仕事を辞めるつもりは無い、と言ったA。
やはり、あの任務をAに命じなければならない。
だから..駄目なんだ、と降谷は自分自身に言い聞かせる。
「零さんも辛いのね..私、自分の事ばかりで
本当にごめんなさい。」
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ぷぅ(プロフ) - うわぁ、新人に降谷さんが好きですって言えなくて新人の恋愛に協力して下さいって言われたら私だったらこう言ったら｢何でですか？｣って理由を聞かれるだろうけど｢ごめん、無理｣って言っちゃうだろうなぁ(ノдヽ) (2019年11月7日 12時) (
レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - うわっめっちゃいい所で！更新待ってます！大好きです！ (2019年11月5日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - ヒロインが降谷さんの好きな人って分かったら婚約者(振られてるから元婚約者になるのかな？)きれいな顔をしておいて降谷さんにヒロインの事を幻滅させるような何かひどいいじめみたいな事して来そうで怖いから近づきたくない( ´-ω-) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - うわぁ、好きな人が婚約者と話してる所を見るの嫌だし、その間に入るのも嫌だなぁ( T∀T)私なら仕事があるからとかって言って逃げちゃう( ＞Д＜；)でも降谷さんはヒロインを呼んでどうするんだろう？( ´△｀) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - とっても素敵な文章と内容で、時間を忘れてずっと読んでいました！凄く続きが気になります！応援しています！ (2019年9月8日 9時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロン | 作成日時：2019年6月15日 12時
