16.嬉 ページ16
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治ったら水族館に行くという約束をした日から1ヶ月弱経った
最初にここに来た時の100倍心が軽い
それに、毎日が楽しくて仕方が無い
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「あっ！Aちゃんおはよぉ！！」
『あ、ひろと君おはよう、元気だねぇ？』
「うん！今日ね、りゅうせー先生とみんなで遊ぶの！」
『そっかぁ、楽しみだね？』
「うん！！」
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前までは青いベンチでひとりで本を読んでた私
本を持ち歩くことをやめて、周りの景色を見るようにしたら何だか少しだけ明るい性格になった気がする
病院のちびっ子達とも話すようになったし遊ぶこともある
こんなに充実した毎日を、もう一生送れないと思ってた私はこの幸せな日常が宝物のように感じる
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『ぜーんぶ、流星くんのおかげかな……』
「ん？何が？」
『うっわ、ぁ……びっくりした……』
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ひろと君がお友達のところに駆けて行くのを見つめながらそんなことをぼそっと呟いたら
背後から突然聞こえた声
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「うわぁ、て。笑 人をオバケみたいに……」
『いや、……ごめん……』
「ふはっ、まぁええけど？で、何が俺のおかげなん？」
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くっくっ、と喉を鳴らしながらタバコを咥えてライターを取り出す
……あっちにちびっこいますけど、まぁ100メートルは奥だから大丈夫だろうけど
それでも医者としてはやっぱり最低だからじとりとした目線を送りながらさっき考えたことを話す
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『どん底にいた私の毎日が、キラキラした幸せな毎日に変わったのは流星くんのおかげだなぁって』
「あはは、そんなセンチメンタルな内容やったん？……まぁそう言ってもらえると嬉しいな。医者冥利に尽きるわぁ」
『ありがとうね？』
「いーえ。笑」
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さーて、ちびっこ達と遊んできますかぁー！
なんて言いながら携帯灰皿にタバコを押し付けて白衣のポケットに突っ込んで前を歩いていく
私ももう少ししたら見に行こうかな、って思いながら部屋に戻ろうとしたら
不意に流星くんがくるり、と振り返って
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「……Aちゃん、もう少しで退院できるで」
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突然、嬉しいお知らせが来た
退院すると毎日流星くんと会えなくなるマイナス面もあるけど、あの約束があるから、悲しくはない
ウキウキした気持ちで鼻歌を歌いながら動きやすい服に着替える
私もちびっこたちと遊ぶ……かもしれないし！
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青いみかん(プロフ) - ★さん» 指摘ありがとうございますm(__)m訂正しました (2017年12月10日 11時) (
レス) id: 07f408f476 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 11【こうなる事わかってくせに】→わかってるくせに では？ (2017年12月6日 17時) (レス) id: 44661be576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏. | 作成日時：2017年11月25日 21時
