【占ツク】人気作者の光と影

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　5分くらい経ったところで、『隣で待つ私。』の作者から返信が来た。


ひるり(プロフ) - 鷹梟さん» 悪コメ止めてください。僕あなたに何かしましたか？そうじゃないのならやめて、ほんとに (レス) id: mp30rg8o2i (このIDを非表示/違反報告)


　そろそろいいだろうと私はパソコンの画面に向き直り、麗鎖のアカウントで『隣で待つ私。』にコメントをする。


麗鎖(プロフ) - 私は素敵な文章だと思いますよ(*´∀`)♪うらやましいくらいです。あんなの無視して消しちゃえ〜ですよ！すっごく面白いので頑張ってください！ (レス) id: rqw4kn693t (このIDを非表示/違反報告)


　そう書き込んで、10評価としおりをはさむ。

　実を言うと、私は『隣で待つ私。』を一行も読んでいない。「面白い」とか「頑張れ」とか「続きが気になる」なんて読まなくても書けるし違和感もない。

　私を人気なのに初心者や無名作者にも優しいユーザーだと思わせられる、便利な言葉だ。

　読むなんて面倒くさいし、時間がもったいない。私はいつもこうやって適当に綺麗な言葉で優しさを演出している。

　でも相手の作者もそれでいい気分になれるし、私はそれで人気を得られるし、いいことばかりだから問題ないよね？

　その後ひるりからは感謝のコメントが来た。

　恩を感じた彼女は私がどんなユーザーか気になり作品ページを開くだろう。そして「遅待ちゃん」の夢小説に気づいて読み、私をお気に入り作者登録をするだろう。

――ほら、お気に入り登録の通知が届いた。

　マーケティングだけでは足りないから、私はこうして自演をしている。idを見ればわかるが、鷹梟と崇禍原は同一人物、つまり昨日の崇禍原も私。

　全ては私が仕組んだことだったのだ。

　私は他にも見つけた「遅待ちゃん」の夢小説でも言葉を変えて同じことを繰り返した。

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