子連れのくくちへいすけくん。【忍たま】

子連れの、４４ ページ46

学園長先生に今日の晩御飯のリクエストを食堂のおばちゃんに伝えてくれと頼まれた。

大好きな豆腐が夕食で食べれると思いつい、目的を忘れ食堂へ走って行ってしまった。
本当はAの叫び声が心配で来たのに。


どれだけ自分は豆腐が好きなのだろうと改めて感心した。


でも、
もう一度庵へ行くとAの姿がなくて。

一緒にいた水夫のお二人もいなかった。


「……お二人は帰られたんですか？」


お茶を一人で啜っておられる学園長先生に聞くとこちらをちらっと見てこう言った。


「Aと一緒にな」




「……え？」


Aが？
Aが一緒に何処へ帰ったというんだ。

脳が追いつかない。
落ち着けよく考えろ。


「久々知兵助よ」
「は、はい！」


「Aは大丈夫じゃぞ、兵助は忍術を学ぶことに専念しなさい」


その言葉で理解した。



そういえばAにとって兵庫水軍は実家そのものだ。

幼児では忍術学園に居ても何もできない。
むしろ危ない。

戻るまでは実家に居させようという学園長先生の思いつきなのだろう。





そして俺がずっとAに付きっきりだったから。



「はい」


「はい」以外言えないじゃないか。


ーーーーーー


「おかえりー兵助」
「あぁ、勘右衛門」

「あれAは？」


キョロキョロ辺りを見渡す勘右衛門。
別に隠れているわけじゃないんだ。

兵庫水軍に居るんだよ。


「なんでそんな暗い顔してるんだよ……兵助？え、おい！しっかりしろよ！！」
「し、してる。大丈夫だよ……」

「何があったんだよ。兵助がこんなになるなんて豆腐を禁止された時ぐらいだっただろ」


自分でもわかる。
相当ショックを受けている。

忍たまとあろうものが……五年生なのに。




勘右衛門にわけを話すと「なるほどなあ」と言って笑った。
何笑ってるんだ。


「話を聞く限りだけどすぐ帰ってくるんじゃないか？伊作先輩が毎日頑張ってるって聞いたし」
「でも俺が守るって約束したんだ」


ずっとこればかり言っている気がしてきた。
それほど大事な約束なんだよ。


「それってAが小さくなったとき？」




「いや、俺達がまだまだ小さかった時だよ」



Aは忘れているんだろうけど。



　

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