【ポケモン】二人一緒が1番良い！【原型夢】 (ページ9)

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それは気まぐれから始まったこと②　ミュウツーページ9

※ミュウツー視点

人間や他の生き物と関りを持ちたくなくて、一人洞窟に籠っていたが･･･たまたま人間に見つかってしまった。

その人間は、今まで会って来た人間と違って･････私を利用しようともせず、捕まえようともしなかった。ただ、私の身体の傷を見て･･･手元にあった道具を使って傷の治療をした後に、そそくさと逃げるように洞窟から出て行った。

道具を使う手や、全身が震えるほどに私に対して恐怖を抱いているのにも関わず･･･なぜ私を助けようとするのか。理解が出来なかった。

その、見返りを求めようとしない無償の行動に･･･何故だか私は温かいような･･･妙な感情を微かに抱いてしまった。

その後、私を助けた人間を暫く観察していたが･･･その人間がとんでもなく気弱で･････そのくせどうしようもない位のお人好しであることを知った。

「A」

『はい？』

私の隣で、腑抜けたような顔で目の前の「シュークリーム」と呼ばれる菓子を頬張る人間のメスの名前を呼んだ。

私に名前を呼ばれ、少し戸惑ったように揺れる瞳が視界に入った。

「お前は･･･少しはやり返すことを覚えろ。でないと、お前はいつまでも虐げられたままだ」

先ほど･･･Aが同い年くらいの人間のオスに馬鹿にされていた光景を浮かべながら私がそう呟くと、Aは困ったように笑って

『私は･･･弱くてやり返す度胸もないですし････手持ちのポケモンがいないのも事実ですし･･･やり返して、誰かを傷つける位なら･･･いじめられっ子のままでいいです』

など、呆れたようなことを抜かした。しかしそれが、Aというお人好しなのだと悟った。

「ならば、私がやり返す。」

何故･･･自分が、こんなに出会って数日のAに対して入れ込んでいるのかはわからない。ただ、私はAが嫌な目にあっているのが無性に嫌だと思った。そう思った時に、自然とこの言葉が出ていた。

Aは私の言葉に驚いたような顔をした後、すぐに笑顔になった。

『さっきも、助けてくれたんですよね？ミュウツーさん。本当にありがとうございます。』

「私が気晴らしにやったことだ、お前に例を言われる筋合いはない」

言葉では、わざとAを突き返すような言い方をしたが･･･心はそれとは正反対で･･･Aが笑っていると、何とも言えない暖かさを心に感じる。

この感情が一体何なのか、私はまだ理解が出来なかった。