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あれから６年か…。
○○高校３年２組同窓会と書かれた看板を見て、ため息を吐く。
その年の最後の夏のインターハイでうちの学校は初めて水泳種目で準決勝まで上がった。
それは俺のおかげだったからと担任でもなかったのにこのクラスにその時の水泳部長がいて呼ばれた。
呼ばれたのは素直に嬉しかった。
クラスを持たせてもらったのはほんの一昨年くらいだから、昔の生徒に呼ばれるなんて初めてだったから。
でも、俺はずっとあの時のことが気がかりで。
Aがまだ元気でいるのかが気になってた。
「あ！松本せんせー！」
呼ばれて振り向くとその水泳部員たちが顔を見せる。
自然と笑みが溢れた。
「おー、元気にやってたかー？」
「せんせーこそすっかり教師の顔になってんじゃないっすかー！」
「なんだよそれ。前は教師じゃなかったっていうのかー？」
「はははっ。」
たった６年であの時、制服を着てた子供たちがスーツを着るようになるなんて不思議だ。
「ほらほら、そんなとこに突っ立ってないで中に入りましょうよ！」
背中を押されて入った店の中にはすでに何人もの生徒たちが集まってる。
「きゃー！松本先生だー！相変わらずかっこいー！」
「先生結婚したー？｣
笑って誤魔化しながら、クラス担任の先生にご挨拶に向かう。
「ご無沙汰してます。」
「久しぶりだね、元気にしてたかい？」
「はい。お隣いいですか？」
「もちろんいいとも。」
もう50を過ぎたベテランと呼ぶべき先生の隣に座らせてもらい生徒たちを見る。
「…君は卒業生と会うのは初めてかい？」
「あ、はい。この年が１年目だったので。」
「そうか。じゃあ、１つだけ。生徒の未来を見るのは良いことも悪いこともあるよ。」
「え？」
「ほら、呼ばれているようだよ。行ってきなさい。」
話の真相を聞こうとしたら、遠くから生徒たちに呼ばれて誤魔化される。
腕を引っ張られて渋々立ち上がりながらベテラン先生を見ると優しく微笑まれた。
なんだったんだ、あれ…。
「松本先生、久しぶりだねー！」
気がつくと女子に囲まれてる。
…正直、半分くらい名前が出ない。
キョロキョロと周りを見渡してもAらしき姿はない。
遅れてんのかな…。
「なぁ、Aは？」
思わず口にしてすぐに後悔する。
流石に特定の名前を出したのはまずかったか？
「先生、知らないの？」
隣に座ってる女子は気に止めず話し始める。
「Aさん、失踪したんだよ。」
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作者名：ゆーり | 作成日時：2017年12月14日 0時
