イヤーカフ２ (ページ28)

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レジ台に置かれたのはアイスと少し、小振りなタバコの箱

そういえば、タバコ吸ってるんだっけ？

普段一緒にいても特に匂いもしないし
吸ってる姿も昨日しか見てない

会計が終わって
店員さんに軽く会釈をしてコンビニを出る

海人は袋からタバコを取り出してポケットにしまって

「これで許してくれる？笑」

って私の前に袋を差し出した

『…最初から怒ってないよ』

「まぁ俺の都合で連れ出しちゃったお詫びも込めて」

早く食べないと溶けちゃうよって私に袋を手渡して
下を向いて携帯をいじる

『…あれ、はんぶんこでしょ？』

まるで自分は食べないみたいな口ぶりに
時差で引っかかって聞けば

「だってあー言わないとA安いのでいいとか言うもん」

『でも…』

「意外とそーゆーところ、頑固だもんね笑」

そう言うとさっきまでいじってた携帯をしまって

「俺にはちゃんと素直に甘えんの、わかった？」

重くない力加減で私の頭に手を乗っけた

「もう溶けてるよ」

『え？』

「ほら、早く食べなきゃ」

買ってもらったアイスを開ければもう溶け始めていて
食べるのが少し難しい

『ねぇやっぱ半分食べてよ、お願い』

「えー、じゃあ…」

すると私の手を上からぎゅっと掴んで
私が持ってる食べかけのアイスをそのままかじった

「あまっ…あと全部いーよ」

いきなり近くにきた後頭部
夜風でふわっとなびいた髪の毛からした
甘い、大人な香りが私を支配した

それでもやっぱりタバコの匂いはしなくて

『そういえば私、海人のこと何も知らないかも』

高校の頃から一緒なのに
それに対して持ってる情報が少なくて
少しのモヤが、心に残る

"煙草、いつから吸うようになったの？"

そう聞こうと思ったけど、なぜかその時私は
少し先を歩く海人の後ろ姿を見つめることしかできなかった