あの子じゃない

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『マイキー！』



一虎を殴る手がピタリと止まった。


緩んだように見えた拳がまた


ギリっと音を立てて握り直されたように見えた。


再び振り上げられた拳。



『万次郎！』


マ｢…離せ｣


『私、万次郎のこと助けに来た』


マ｢離せって言ってるだろ。


いくらAでも容赦しねえ｣



振り上げられた腕を掴んでないと、


離したらまたすぐに殴りかかりそう。


血だらけの一虎はもう意識がない。


こんな形で再開したくなかったよ、一虎。



『こんな事したって真一郎くんは戻って来ないし、


ただ犠牲が増えるだけ。


万次郎の気持ちは私には計り知れないけど、


そばに居るって約束した。


だから、いつまでも付き合うからさ、


お願いだからやめて…』


マ｢兄貴の仇だ…


それに、場地を刺したんだぞ。


殺すのには理由が十分過ぎる｣


『じゃあ、私のことも殺す？』


マ｢は…？｣


『私言ったよね。


あの時一緒にいたって。


真一郎くんが亡くなった日、


あの時真一郎くんを店に戻らせたのは私だよ。


原因は私が作った。


万次郎が殺さないといけないのは、一虎じゃない。


私だよ』

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