若頭と同級生 (ページ6)

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車の後部座席に乗り込むと、窓からさっき私を殴った男と義母が別の男に引きずられてるのを目にした。

『…ぁ』

「あの人は、今まで楽な暮らしをしてきたんだからその代償を支払わせなきゃ。もう、君が肩代わりする必要なんてないんだよ。母親だって言っても戸籍上だけなんだし。それに、あの人を愛したのは羽田さんの父親で、羽田さんじゃないんだよ」

阿部くんの放った言葉は酷く冷たく感じだが、なんとなくその言葉を理解している自分がいた。

父親が愛した人で、戸籍上唯一の家族だから今まで我慢していたし、父親が愛した人だから私も愛せると思っていたけれど、結局は私の愛に甘えて好き放題だった義母。

義母「A！！助けて！」

いつも私に助けを求める時は、お金が足りないお金が返せないって言うときで、それ以外は私に寄り付きもしない。

私は都合のいいように使われていただけで、あの人からは家族だなんて思われてなかった。

「もういいよ。車出して」

今まで見て見ぬふりをしていた真実を見てしまった瞬間に、スっと何かが冷めてあの人の事を赤の他人としか思えなくなっていた。