若頭と同級生 (ページ5)

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「…ねぇ。何してるの」

男「っ！！若！なんでここに？」

「…なんで？心当たりあるんじゃない？」

男「…なんの事だか」

「俺が知らないとでも思った？俺らにバレないようにコソコソ、女の子を金持ちに売り飛ばして、裏で金もらってるの俺は知ってるよ？」

男「…それは」

「俺の事馬鹿にしてんの？最近、お前の金遣いの荒さとか全部知ってんだよ」

突然の事で何が起こってるのか分からずにその場に座り込んでると、若と呼ばれた男の人が私をじっと見つめ、さっきまでの怖い表情が少し柔らかくなる。

「君は本当に馬鹿だよ…お人好しのおバカさんだ」

なんだか聞いたことのあるフレーズ。

小学生の時に言われた気がして…。

『…っ。阿部くん？』

「君とこんな形で再会したくなかった」

私の目の前にしゃがみ込むと、口元の血を拭ってくれた。

ガラの悪い男の人たちが、スーッと道を開け頭を下げその空いた道を堂々と歩いて私の元に、やってきたのは小学生の時に友達だった阿部亮平くんで、なんで阿部くんがこんな所に居るのか今の私には理解ができない。

真っ黒なスーツを身にまとって、まるでドラマや映画に出てくる極道の一番偉い人みたい。

『…なんで、阿部くんがここにいるの？』

「んー。ここは俺の島だから。あまりにおいたが過ぎたから。俺直々にきたら、まさか羽田さんがいるなんてね」

『おいた？島？』

「ふふっ。何も分からなくていいよ。おいで羽田さん」

男「若！どうするんですかその子」

「んー？この子は俺の友達だから、変なことさせないよ…一旦連れて帰って考える…それよりこいつ捕まえておいて」

『え？ぁっ…阿部くん…』

状況が理解できないまま私は阿部くんに手を引かれて黒い車へ。

「君はこのままだったらどこかに売り飛ばされる予定だったんだ。いいだろ？俺の所に来たって…それとも、売り飛ばされたい？」

慌てて首を横に振ると、ニコッと笑い私の頭を優しく撫でる。

「よし。おいで」

そのまま、手を引かれ黒い車へと連れ込まれた。