若頭と同級生 (ページ2)

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私のお友達の阿部くんはある日突然、転校してしまった。

理由は家庭の都合だって言うけれど、せっかくお友達になれたのにすごく寂しい。

頭が良くて、私に勉強を教えてくれてそのお陰でテストの点数が少し上がったのにそのお礼もできてない。

『…先生。阿部くんもう来ないの？』

「う、うん。そうなの…羽田さんもう阿部くんの事は残念だけど忘れて、また別の友達と遊んで思い出作りましょ？」

『なんで阿部くんのこと忘れなきゃいけないの？阿部くんも私のお友達だったのに！！』

先生の言葉がすごく冷たく聞こえて、私は悲しくなって夕暮れ時の学校を飛び出した。

阿部くんも私のお友達だったのになんで、忘れなきゃいけないのに。

絶対に忘れたくないのに…。

ずっと友達だと思ってたのに。

『…っ。阿部くん』

「…羽田さん泣いてるの？」

『阿部くん！』

転校してもう会えないと思っていた、阿部くんの声が聞こえて振り返ると、本当に阿部くんが立っていて、私は急いで阿部くんの元に走っていった。

「なんで泣いてるの？誰かに嫌なことされたの？」

『違うよ。阿部くんがいなくなっちゃうから寂しくて』

目の前の阿部くんは少し驚いたように、目を大きく開く。

「…本当に羽田さんは優しいね。僕のために泣いてくれるなんて」

『阿部くんのおかげでテストの点数少し上がったし…お話してて楽しいから』

「そっか。僕とお友達になってくれてありがとう」

すっと差し出した左手の薬指。

何も言わずとも、阿部くんも左手の小指を出してくれてお互いに絡め合う。

「こんな僕と友達になってくれてありがとう羽田さん」

『…うん。阿部くんとお友達になれて良かった』

「あはは。お人好しのおバカさんだよ羽田さんは」

これが私と阿部くんの最後の会話。

ずっと友達だって言うことを約束した日。