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あれから数日が経ち少しずつ冷静さを取り戻してきた脳内では早く千秋くんに返事をすべきだという結論が出ているものの、肝心の答えが見つからないまま時間だけが過ぎていた。
千秋くんのことは普通に好きだ。
そもそも嫌いになる理由が見つからないし、これから先もそれは変わらないと思う。
だけどその嫌いになることはないと断言出来る理由が、幼馴染だからなのか、千秋くんのことが好きだからなのかわからない。
(……嫌いじゃない、ってことしか言えないよ……)
どんなにひょろくて弱くて泣き虫でも、私にとって千秋くんは大切な幼馴染だった。
｢………はぁ、｣
結局今日も答えが出せなかったなぁ、と思いながら歩いていると突然見覚えのある制服が視界の端に映り、反射的にそちらへ視線を向けるとやはり千秋くんが立っていた。
驚きはしない。
なんとなくそろそろだろうなとは思っていた。
私はずっと、あの日から何も送ってこない彼の優しさに甘えていただけなのだから。
｢久しぶりだな。今日も遅くまでご苦労だったな！｣
｢あっ、うん。ありがとう……？｣
この前と変わらない様子にほっとしながら駆け寄りいつから待っていたのか尋ねればそっと微笑まれ、これは絶対言わないやつだと仕方なく諦める。
どうやら変なところで頑固なのは今も昔も変わらないらしい。
｢公園行こ。昔よく遊んだところ。覚えてるでしょ？｣
｢あぁ、｣
当たり前のように隣に並んだ千秋くんをなるべく意識しないように無心で歩いているとあっという間に着いてしまい、もうすこしゆっくり歩けば良かったと後悔する。
住宅街の真ん中にポツンとあるこの公園は砂場とブランコしかない質素な場所なのに毎日泥まみれになるまで遊んでいたのを今も覚えている。
懐かしいなぁ、と思いながらベンチに座れば千秋くんの視線を感じ、流石にこれ以上引き伸ばすのは難しそうだなと思わず苦笑いしてしまう。
｢千秋くんはさ、今の私たちの関係を一言で表すとしたらなんだと思う？｣
｢…………難しい質問だな｣
｢私もね、ずっと考えてたの。もしかしたら幼馴染だと思っていたのは私だけで、千秋くんは私のことなんか忘れて一生懸命アイドルしてるのかな、とか｣
だから千秋くんが連絡をくれた時、すごく嬉しかった。
私のこと覚えていてくれたんだなって。
千秋くんの記憶の中に今でも私は存在していたんだなって。
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作者名：詩梛 | 作成日時：2020年4月26日 23時
